【2026年9月】ボクシング世界王座の動き|吉良大弥・石井武志が新王者、ムラタラとシェラーズは返上
30秒でわかる、9月の世界王座の動き
- 新しく王者になった=吉良大弥(WBAライトフライ級)、石井武志(WBAミニマム級)、ジェイ・オペタイア(WBAクルーザー級)、リカルド・マラジカ(WBCスーパーフライ級)
- 暫定王者になった=サム・グッドマン(IBFスーパーバンタム級)、松本流星(WBOミニマム級)
- 試合をせずにベルトが動いた=WBCクルーザー級はチェスラックが暫定から正規王者に。IBFライト級のムラタラと、WBOスーパーミドル級のシェラーズはベルトを返上
- 防衛した=ライアン・ガルシア(WBCウェルター級)、井上拓真(WBCバンタム級)、タノンサック・シムシー(IBFライトフライ級)ほか
- 日本人の世界王者は、9月のはじめの6人から8人に増えました(暫定王者を除いて数えた人数)
2026年9月は、ボクシングの世界のベルトがよく動いた1か月でした。
試合で新しく王者になった選手が4人。それとは別に、暫定王者が2人。そして、試合をしないまま持ち主が変わったり、空っぽになったりしたベルトもありました。
この記事では、主要4団体(WBA・WBC・IBF・WBO)の男子の世界王座について、2026年9月1日〜30日に起きたことを1本にまとめます。日付は、日本で行われた試合は日本の日付、海外の試合は「現地◯日=日本時間◯日」と両方書きます。
9月の動きを一覧にすると
上から日付の順です。「区分」の列を見ると、何が起きたのかがひと目で分かります。
| No. | 日付 | 階級・団体 | 出来事 | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 9月2日 | ライトフライ級 WBA | 吉良大弥が7回TKO勝ちで新王者 | 新王者 |
| 2 | 9月2日 | ミニマム級 WBA(レギュラー) | 石井武志が1回65秒KO勝ちで新王者 | 新王者 |
| 3 | 9月初め(報道は9月3日) | ライト級 IBF | ムラタラが返上し空位に | 空位 |
| 4 | 現地9月12日=日本時間13日 | クルーザー級 WBA(レギュラー) | オペタイアがミカエリアンに9回TKO勝ちで獲得 | 新王者 |
| 5 | 現地9月12日=日本時間13日 | ウェルター級 WBC | ガルシアがベンに2回TKO勝ちで初防衛 | 防衛 |
| 6 | 9月14日 | クルーザー級 WBC | WBCがミカエリアンの王座を空位と宣言、暫定のチェスラックが正規王者に | 昇格 |
| 7 | 9月8日(WBA発表) | スーパーフェザー級 WBA | 暫定王者サメドフがレギュラー王者に、カカーチェはスーパー王者に | 格上げ |
| 8 | 現地9月18日 | スーパーミドル級 WBO | シェラーズが返上し空位に | 空位 |
| 9 | 現地9月19日=日本時間20日 | ミドル級 WBC(暫定) | ラモスが食中毒で入院し、防衛戦が中止 | 試合中止 |
| 10 | 現地9月19日=日本時間20日 | スーパーライト級 WBC(暫定) | イサック・クルスがネストル・ブラボに6回KO勝ちで防衛 | 防衛 |
| 11 | 9月26日 | ライトフライ級 IBF | タノンサック・シムシーがマーク・ビセレスに2回TKO勝ちで防衛(静岡県富士市) | 防衛 |
| 12 | 9月27日 | バンタム級 WBC | 井上拓真が那須川天心に判定勝ちで2度目の防衛 | 防衛 |
| 13 | 9月27日 | スーパーフライ級 WBC | マラジカが坪井智也に判定2-1で勝ち新王者 | 新王者 |
| 14 | 9月27日 | スーパーバンタム級 IBF(暫定) | グッドマンが西田凌佑に判定3-0で勝ち暫定王者 | 暫定王者 |
| 15 | 9月27日 | ミニマム級 WBO(暫定) | 松本流星がアコスタに判定3-0で勝ち暫定王者 | 暫定王者 |
言葉について:「暫定王者」は、正規の王者がすぐに試合をできないときなどに、団体が臨時に置くもう1本のベルトです。「空位」はベルトの持ち主がいない状態です。そのあと団体が選んだ2人で、空いたベルトを争う「王座決定戦」が行われます。「レギュラー王者」は、WBAが「スーパー王者」とは別に置いている王者のことで、WBAの公式ランキングでは「WORLD CHAMPION」と書かれています。くわしくは世界王者一覧の下の用語解説にまとめています。
試合で新しい王者が決まったベルト
9月2日|吉良大弥と石井武志が、同じ夜に初めての世界王者に
横浜BUNTAIで、日本人2人が同じ夜にWBAの世界王者になりました。
- 吉良大弥=WBAライトフライ級の王座決定戦で、カルロス・カニサレスに7回38秒TKO勝ち。プロ5戦目での世界王者は、日本の男子で最も早い記録に並びました
- 石井武志=WBAミニマム級(レギュラー王座)の王座決定戦で、ウィルフレド・メンデスに1回1分05秒KO勝ち。65秒は、日本の男子が世界戦で勝った時間として最も短い記録です
全6試合の結果は9月2日のダブル世界戦の結果にまとめています。なお、WBAではこの2つの階級とも、ほかにも王者がいます。ミニマム級はオスカー・コラーゾがスーパー王者、ライトフライ級はレネ・サンティアゴがWBAとWBOの統一王者として、WBAの公式ランキングに載っています。そのしくみは試合前の記事で説明しました。
現地9月12日(日本時間13日)|オペタイアが、空いていたWBAのベルトを手にした
ラスベガスで、ジェイ・オペタイアがノエル・ミカエリアンに9回1分30秒TKO勝ち。これで31戦31勝(24KO)になりました。
この試合では、ミカエリアンが持っていたWBCのベルトは賭けられていませんでした。代わりに、空いていたWBAのレギュラー王座が賭けられ、オペタイアがそれを手にしています。くわしくは9月13日の全試合の結果をどうぞ。
9月27日|マラジカが坪井智也に2-1で勝ち、WBCスーパーフライ級の新王者に
東京のTOYOTA ARENA TOKYOでは、世界戦が4つ行われました。そのうち、空いていたWBCスーパーフライ級の王座決定戦は、リカルド・マラジカ(南アフリカ)が坪井智也に判定2-1で勝ちました。
採点は116-112と115-113でマラジカ、115-113で坪井。8回が終わった時点の途中採点では、ジャッジ3人のうち2人が坪井をリードとしていました。残りの4ラウンドで、マラジカが逆転した形です。
同じ日の4試合の採点はPrime Video Boxing 16の結果にまとめています。
9月27日|暫定王者が2人。グッドマンと松本流星
- サム・グッドマン(オーストラリア)=IBFスーパーバンタム級の暫定王座決定戦で、西田凌佑に判定3-0(116-109、115-110、114-111)で勝ちました。この階級の正規の王者は井上尚弥です
- 松本流星=WBOミニマム級の暫定王座決定戦で、ラッセル・アコスタに判定3-0(118-110、116-112、115-113)で勝ちました。WBOの正規の王者はオスカー・コラーゾです
暫定王者は、正規の王者とは別のベルトです。そのため、この記事の「日本人の世界王者は8人」には、松本流星を入れていません。
試合をしないまま動いたベルト
9月は、リングの外で王座が動いた階級が4つありました。
9月14日|WBCクルーザー級=チェスラックが暫定から正規の王者に
WBCは9月14日、ミカエリアンのWBCクルーザー級王座を「空位と宣言する」と発表しました。同時に、暫定王者だったミハル・チェスラック(ポーランド)を正規の王者に上げています。
背景には、ミカエリアンとオペタイアの試合が、WBCの認めない形で行われたことがありました。WBCの文書は、関係者と話し合いを重ねたうえでの決定だと説明しています。多くのメディアは「剥奪」と書きましたが、WBCの公式文書の言葉は「空位と宣言する」です。くわしい流れはミカエリアンのWBC王座が空位に|チェスラックが新王者へ昇格にまとめました。
9月初め|IBFライト級=ムラタラが返上。次はクルス対スブハンクロフ
IBFライト級王者のレイモンド・ムラタラ(アメリカ)が、ベルトを返上しました。ひとつ上のスーパーライト級(140ポンド)に上げるためです。返上は9月3日に報じられました。
ムラタラは2026年に2度防衛していました。1月にアンディ・クルスに判定2-0(ジャッジ1人は引き分け)、8月にロブソン・コンセイソンに判定3-0です。負けないままベルトを置いていった形です。
空いたベルトについて、IBFはアンディ・クルス(キューバ)とアルトゥール・スブハンクロフ(ロシア)に王座決定戦をするよう指示しました。報道によると、話し合いの期限は10月7日。まとまらなければ、興行の権利を入札で決めます。
9月8日|WBAスーパーフェザー級=暫定王者サメドフが「レギュラー王者」に
WBAは9月8日、スーパーフェザー級の暫定王者だったエルヌール・サメドフ(ロシア)をレギュラー王者にし、王者のアンソニー・カカーチェをスーパー王者としました。
WBAの発表によると、理由はカカーチェとサメドフの指名試合が組めなかったことです。イギリスのコミッション(BBBofC)が、サメドフにイギリスで試合をする許可(ライセンス)を出しませんでした。WBAはカカーチェに年内の別の相手との防衛戦を認め、その勝者がサメドフと戦う流れを決めています。カカーチェは12月19日にニック・ボールとの防衛戦が決まっています。そこまでの流れはカカーチェの前には、すでに2人が並んでいたで書きました。
現地9月18日|WBOスーパーミドル級=シェラーズが返上。次はジャニベク対バンク
WBOスーパーミドル級王者のハムザ・シェラーズ(イギリス)が、ベルトを返上しました。WBOが現地9月18日に発表しています。
WBOはシェラーズに、元ミドル級の統一王者ジャニベク・アリムハヌリとの指名試合を命じていました。興行の権利を決める入札が行われた数日後に、シェラーズは試合をせずにベルトを手放しました。
空いたベルトについて、WBOはジャニベクとヤコブ・バンク(デンマーク・20戦全勝)に話し合いを指示しています。報道によると、期限は10月7日です。
防衛した王者
- ライアン・ガルシア(WBCウェルター級)=現地9月12日(日本時間13日)、コナー・ベンに2回1分25秒TKO勝ちで初防衛(結果)
- 井上拓真(WBCバンタム級)=9月27日、那須川天心に判定3-0で2度目の防衛。7回にダウンを奪われましたが、採点は114-113、116-111、116-111でした(結果)
- イサック・クルス(WBCスーパーライト級 暫定)=現地9月19日(日本時間20日)、米サンディエゴでネストル・ブラボに6回KO勝ちで防衛(報道)
- タノンサック・シムシー(IBFライトフライ級)=9月26日、静岡県富士市の富士山メッセでマーク・ビセレス(フィリピン)に2回TKO勝ちで防衛(報道)
そのほかの動き
WBCミドル級の暫定王者ヘスス・ラモス・ジュニアの防衛戦(現地9月19日・米サンディエゴ、相手はメイリン・ヌルスルタン)は、ラモスが食中毒で入院したため、前日に中止になりました。
WBCは以前から「この試合の勝者が、正規王者カルロス・アダメスと戦う」と決めていました。中止のあと、WBCがアダメスとヌルスルタンの試合を指示したという報道もありますが、10月5日の時点でWBCの公式発表は確認できていません。
日本人の世界王者は8人に
9月2日の2つの戴冠で、日本人の世界王者は8人になりました。この人数は、暫定王者を除き、WBAの「レギュラー王者」は入れて数えています。9月27日には坪井智也と西田凌佑が挑みましたが、どちらも届きませんでした。
| No. | 階級 | 団体 | 選手 |
|---|---|---|---|
| 1 | スーパーバンタム級 | WBA(スーパー)・WBC・IBF・WBO | 井上尚弥 |
| 2 | バンタム級 | WBA(レギュラー) | 増田陸 |
| 3 | バンタム級 | WBC | 井上拓真 |
| 4 | スーパーフライ級 | WBO | 寺地拳四朗 |
| 5 | フライ級 | IBF | 矢吹正道 |
| 6 | ライトフライ級 | WBA | 吉良大弥(9月2日〜) |
| 7 | ライトフライ級 | WBC | 岩田翔吉 |
| 8 | ミニマム級 | WBA(レギュラー) | 石井武志(9月2日〜) |
なぜ数え方で「6人」「10人」と人数が変わるのかは、日本人のボクシング世界王者は今8人で整理しています。
10月に動きそうなこと
- 10月7日=IBFライト級(クルス対スブハンクロフ)と、WBOスーパーミドル級(ジャニベク対バンク)の話し合いの期限(どちらも報道)
- 10月24日=スーパーフェザー級で、エマヌエル・ナバレッテ(WBO・IBF)とオシャキー・フォスター(WBC)の3団体統一戦(記事)
いまの全階級の王者はボクシング世界王者一覧で見られます。毎週金曜日に確認して、変わったところを直しています。
この記事について
試合の結果と王座の扱いは、各団体の公式発表と、専門メディアの報道で確かめて書きました。団体の公式発表が見つからず報道だけで確かめたものは、本文に「報じられています」「報道によると」と書いています。情報は2026年10月5日時点のものです。
出どころのリンク
- WBA公式|吉良大弥 vs カニサレスの結果(吉良がWBAライトフライ級王者に)
- WBA公式|石井武志 vs メンデスの結果(石井がWBAミニマム級王者に)
- WBC公式|Status of the WBC Cruiserweight Division – September 2026(クルーザー級王座を空位と宣言し、チェスラックを正規王者に)
- WBA公式|スーパーフェザー級についての決定(2026年9月8日)(カカーチェをスーパー王者、サメドフを王者に。理由はサメドフのライセンス)
- Fight Mag|Raymond Muratalla vacates IBF lightweight title(ムラタラの返上(9月3日の報道))
- The Ring|IBFがクルス対スブハンクロフを指示(話し合いの期限は10月7日)
- Sports Illustrated|Hamzah Sheeraz Vacates WBO Title(WBOが9月18日に返上を発表)
- Fight Mag|WBO orders Janibek vs Bank negotiations(空いたWBO王座の決定戦、期限は10月7日)
- The Ring|WBCがアダメスの次の相手を指示(8月11日)(ラモス対ヌルスルタンの勝者がアダメスと戦う・会場はサンディエゴ)
- Boxing News|Ramos Jr pulled from Nursultanov title defense(ラモスが食中毒で欠場)
- Boxing News|Isaac Cruz vs Nestor Bravo の結果(クルスが6回KOで防衛)
- Daily Tribune|Vicelles fails in world title bid(シムシーが2回TKOで防衛(富士市))
- WBA公式|ランキング(オペタイア・サメドフ・石井などの王者の表示)
リンクは2026年10月5日に確認したものです。リンク先の内容はその時点のものです。