「日本人のボクシング世界王者っていま何人いるんだろう」と思って調べると、サイトによって「6人」「7人」「8人」「9人」「10人」とばらばらです。

理由は2つあります。数え方が違うことと、2026年9月に人数そのものが動いたことです。この記事では、その中身を1つずつ整理します。

先に答えを書くと、2026年9月28日時点で、男子の正規の世界王者は8人です。9月2日に吉良大弥と石井武志が王者になって、それまでの6人から2人増えました。

まず、8人の名前

いちばん基本になる数え方が「男子の、正規の王者」で8人です(WBAの「レギュラー王座」も正規の王座として数えています)。

階級 団体 選手 戦績 いつから
スーパーバンタム級 WBA・WBC・IBF・WBO 井上 尚弥 33勝0敗(27KO) 2023年7月/12月
バンタム級 WBC 井上 拓真 23勝2敗(5KO) 2025年11月24日
バンタム級 WBA(レギュラー王座) 増田 陸 11勝1敗(9KO) 2026年7月20日
スーパーフライ級 WBO 寺地 拳四朗 26勝2敗(16KO) 2026年7月20日
フライ級 IBF 矢吹 正道 20勝4敗(18KO) 2025年3月29日
ライトフライ級 WBA 吉良 大弥 5勝0敗(4KO) 2026年9月2日
ライトフライ級 WBC 岩田 翔吉 17勝2敗(14KO) 2026年3月15日
ミニマム級 WBA(レギュラー王座) 石井 武志 12勝1敗(9KO) 2026年9月2日

井上尚弥は4団体すべてのベルトを持っているので、ベルトの数で言えば11本を8人で分け合っている計算になります。

9月に動いたこと|2日に2人増え、27日は人数が変わらなかった

「6人」と書いてあるページは、2026年9月2日より前の情報のままです。この1か月で起きたことを、日付の順に並べます。

日付 できごと 人数
9月2日 石井武志がウィルフレド・メンデスに1回1分05秒KO勝ち → WBA世界ミニマム級王者に。65秒は世界戦での日本男子最速KO
吉良大弥がカルロス・カニサレスに7回38秒TKO勝ち → WBA世界ライトフライ級王者に。プロ5戦目での戴冠は日本男子最短タイ
▶ 9月2日の全試合の結果
6人 → 8人
9月27日 井上拓真が那須川天心に判定3-0で勝ち、WBC世界バンタム級王座の2度目の防衛
坪井智也はWBCスーパーフライ級の王座決定戦でリカルド・マラジカに判定1-2で敗れる
西田凌佑はIBFスーパーバンタム級の暫定王座決定戦でサム・グッドマンに判定0-3で敗れる
松本流星がラッセル・アコスタに判定3-0で勝ち、WBO世界ミニマム級の暫定王者に
▶ 9月27日の全試合の結果
8人のまま
(暫定王者を数えると9人)

9月27日の前は「坪井が勝てば1人増える」という見方もありましたが、坪井は敗れ、正規の王者の人数は変わりませんでした。そのかわり、松本流星の暫定王座が1つ増えています。

「9人」「10人」と書いてある理由|暫定王者と女子をどう数えるか

暫定王座というのは、正規の王者がケガなどで長く試合ができないときに、暫定的に置かれる王座です。WBOミニマム級の正規王者はオスカー・コラーゾ(アメリカ)なので、松本流星はいまのところ「暫定」です。暫定王者を入れて数えている資料では、男子は9人になります。

さらに、女子の世界王者が2人います(日本ボクシングコミッションの2026年8月度の一覧で確認)。

  • 晝田 瑞希 ー スーパーフライ級 WBO世界王者
  • 山中 菫 ー アトム級 IBF世界王者

「日本人の世界王者」と言われて男子だけを思い浮かべる人が多いのですが、女子にもきちんと世界王者がいます。

数え方 人数
男子・正規王者だけ 8人
+ 暫定王者(松本流星) 9人
男子・正規王者 + 女子2人 10人
男子・正規 + 暫定 + 女子2人 11人

「7人」と書いてある理由|堤聖也の休養王座は、8月になくなりました

9月より前の資料には、「7人」と数えているものもあります。これは堤聖也を入れた数え方です。堤はバンタム級のWBA休養王者でした。

休養王座というのは、正規の王者がケガなどで長く試合ができないときに、席を空けておくために置かれる王座です。ふつうは復帰すれば元の王者に戻ります。

ところが、2026年7月31日(日本時間8月1日)に発表されたWBAの最新ランキングで、堤は休養王者の欄から外れ、バンタム級1位になりました。

堤は試合に負けていません。経緯はこうです。

  • 2024年10月 WBA世界バンタム級王座を獲得
  • 2025年12月 ノニト・ドネアに12回判定2ー1で勝ち、2度目の防衛に成功。ただしこの試合で鼻を骨折
  • 2026年4月11日 回復が間に合わず、予定していた試合を取りやめ → 休養王者に
  • 2026年8月1日 WBAのランキングから休養王者の表記が消え、1位に

WBAは当初「最長6か月の休養を認める」としていたと報じられており、それが約2か月で終わった形です。堤本人にも事前の通達がなかったとされ、日本の元世界王者たちからは強い批判が出ています。

ですから、堤を入れて「7人」と書いてあるページは、8月1日より前の情報のままだということになります。

8人のうち5人は、2つの夜に決まりました

今年の日本のボクシングでいちばん驚くのはここです。8人のうち5人が、たった2つの興行で王者になったり、王座を守ったりしています。

1つめは2026年7月20日、東京・両国国技館の『U-NEXT BOXING.6』。日本人がからむ世界戦が3つ行われ、3つとも日本人が勝ちました。

試合 結果
WBA世界バンタム級 王座決定戦 増田 陸が比嘉大吾に判定2ー1で勝利 → 新王者
WBO世界スーパーフライ級 王座決定戦 寺地 拳四朗がイスラエル・ゴンサレスに判定3ー0で勝利 → 新王者
WBC世界ライトフライ級 タイトルマッチ 岩田 翔吉がエリック・バディージョに11回TKO勝ち → 防衛成功

増田の試合は2ー1という際どい判定で、1人のジャッジは比嘉を支持していました。

2つめは2026年9月2日、横浜BUNTAIの『Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ』。石井武志と吉良大弥が、2人とも初めての世界挑戦でベルトを取りました。

日本の王者は「軽い階級」に集まっている

8人の階級をもう一度見てください。

  • スーパーバンタム級(55.34kg)ー 井上尚弥
  • バンタム級(53.52kg)ー 井上拓真・増田陸
  • スーパーフライ級(52.16kg)ー 寺地拳四朗
  • フライ級(50.80kg)ー 矢吹正道
  • ライトフライ級(48.97kg)ー 吉良大弥・岩田翔吉
  • ミニマム級(47.62kg)ー 石井武志

ボクシングには全部で17の階級があります。いちばん軽いミニマム級(47.62kg)から、いちばん重いヘビー級(90.72kg超)まで。

そして日本人の世界王者8人は、いちばん軽いミニマム級から下から6番目のスーパーバンタム級まで、たった6つの階級に全員が収まっています。9月2日に石井武志がミニマム級を取ったことで、いちばん軽い階級にも日本人王者が入りました。

体格の差が出にくい軽量級に、日本の選手層が集中しているということです。ヘビー級やミドル級のような重い階級には、いま日本人の世界王者は1人もいません。

まとめ

  • 男子の正規王者は8人(2026年9月28日時点)。9月2日に吉良大弥・石井武志が加わって6人から増えた
  • 暫定王者の松本流星を入れると9人、女子2人を足すと10人
  • 9月27日は井上拓真が防衛、坪井智也・西田凌佑は敗れ、正規王者の人数は変わらなかった
  • 堤聖也の休養王座は2026年8月1日になくなりました。堤を入れた「7人」は、それより前の数え方です
  • ベルトの本数でいえば、井上尚弥1人で4本。8人で11本
  • 8人全員がミニマム級〜スーパーバンタム級の6階級に収まっている

最新の全階級・全団体の王者は、別ページにまとめています。

ボクシング世界王者一覧|WBA・WBC・IBF・WBO 全17階級

選手のプロフィール

この記事に出てくる選手の戦績・経歴は、選手名鑑にまとめています。

選手名鑑(あいうえお順・団体別でさがせます)

試合予定(RIZIN・ボクシング・UFC・ONE のスケジュール一覧)


2026年9月28日時点の公開情報にもとづきます(初出は2026年8月26日。2026年9月29日に、9月2日と9月27日の結果を反映して人数を6人から8人に直しました)。王者は頻繁に入れ替わります。出典=Wikipedia「ボクシング現王者一覧」/Lemino「プロボクシング世界チャンピオン一覧」(2026年8月10日時点)/日本ボクシングコミッション「女子日本育成ランキング 2026年8月度」(女子の世界王者)/日本経済新聞・Leminoニュース(9月2日の世界戦)/帝拳ジム公式サイト(9月27日の結果)/eFight(7月20日の試合結果)/サンケイスポーツ・東京スポーツ(堤聖也の休養王座の件)。日本人王者については複数の資料で照合しました。

この記事で使った出どころ

出どころのリンク

  1. 時事ドットコム|吉良大弥、最速タイ5戦目で王者 石井武志も新王者に―ボクシング(吉良大弥のWBAライトフライ級王座獲得(7回38秒TKO・5勝0敗4KO)/石井武志のWBAミニマム級王座獲得(1回1分5秒KO・12勝1敗9KO))
  2. 日本経済新聞|ボクシング、石井武志が王座獲得 世界戦で日本男子最速KO(石井武志の65秒KOが世界戦の日本男子最速KO)
  3. 時事ドットコム|寺地拳四朗、3階級制覇を達成 岩田翔吉が初防衛、増田陸新王者に―ボクシング世界戦(寺地拳四朗のWBOスーパーフライ級王座獲得(26勝2敗16KO)/増田陸のWBAバンタム級王座獲得(11勝1敗9KO)/岩田翔吉のバディージョ戦11回TKOでの初防衛/7月20日の3試合で日本人全勝)
  4. 早稲田大学 競技スポーツセンター|ボクシング部出身・岩田翔吉 世界王座へ返り咲く WBCライトフライ級(岩田翔吉の2026年3月15日のWBCライトフライ級王座獲得)
  5. 井上尚弥 公式サイト|無敗対決を制す、4団体王座防衛!(井上尚弥のスーパーバンタム級4団体王座保持(2026年5月2日の中谷潤人戦で防衛))
  6. 時事ドットコム|矢吹正道、判定で2度目の防衛 IBFフライ級―ボクシング世界戦(矢吹正道のIBFフライ級王座保持と戦績20勝4敗(18KO))
  7. ゴング格闘技|井上拓真がダウン喫するも判定3-0で那須川天心を返り討ち(井上拓真の那須川天心戦判定3-0でのWBCバンタム級2度目の防衛/松本流星のWBOミニマム級暫定王座獲得/9月27日に正規王者の数が変わらなかったこと(坪井智也の敗戦))
  8. 中日スポーツ|【ボクシング】WBA幹部が堤聖也の状況について説明 休養王者からランキング1位に『一定期間超えて試合できない』(堤聖也のWBA休養王者の扱い終了)

リンクは2026年9月30日に確認したものです。リンク先の内容はその時点のものです。

この記事に出てくる選手

  • 吉良 大弥 ライトフライ級/WBA世界ライトフライ級王者
  • 石井 武志 ミニマム級/WBA世界ミニマム級王者
  • 松本 流星 ミニマム級/WBO世界ミニマム級暫定王者
  • リカルド・マラジカ スーパーフライ級/WBC世界スーパーフライ級王者
  • サム・グッドマン スーパーバンタム級/IBF世界スーパーバンタム級暫定王者
  • 寺地 拳四朗 スーパーフライ級/WBO世界スーパーフライ級王者
  • 那須川 天心 バンタム級/9月27日にWBC世界王座へ挑戦(判定負け)
  • 晝田 瑞希 スーパーフライ級/WBO女子世界スーパーフライ級王者
  • 岩田 翔吉 ライトフライ級/WBC世界ライトフライ級王者

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