10月24日(現地・土曜日/日本時間25日)、アメリカ・テキサス州サンアントニオで、スーパーフェザー級のベルトが3本まとまります。WBOとIBFの2本を持つエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ・31歳)と、WBC王者のオシャキー・フォスター(アメリカ・32歳)による3団体統一戦です。現地9月2日に記者会見が開かれ、正式に発表されました。

試合そのものは「メキシコの3階級制覇王者 対 アメリカの技巧派」という組み合わせです。それだけでも十分に大きな一戦です。

ただ、まとまる3本のうち2本には、1人の日本人が近づいていました。

大橋ボクシングジムの力石政法(32歳)です。

まず、決まったこと

いつ 2026年10月24日(土)現地時間/日本時間25日(日)
どこで アメリカ・テキサス州サンアントニオ フロスト・バンク・センター
だれが エマヌエル・ナバレッテ(WBO・IBF王者/44戦40勝2敗1分1無効・33KO)

オシャキー・フォスター(WBC王者/28戦25勝3敗・12KO)
かかるもの 主要4団体のうちWBO・IBF・WBCの3本。あわせて空位のリング・マガジン王座(専門誌が独自に認定するベルトで、4団体の王座とは別ものです)
放送 DAZNでライブ配信
主催 トップランク

ナバレッテは前の試合(2月28日)から238日ぶり、フォスターは5月30日から147日ぶりのリングになります。

4本あるうちの、3本がまとまる

ボクシングの世界王座は、階級ごとに4団体(WBA・WBC・IBF・WBO)に分かれています。スーパーフェザー級(58.97kg)のいまの持ち主は、こうなっています。

WBA アンソニー・カカーチェ(英国・北アイルランド) ※10月24日には出ません
WBC オシャキー・フォスター(アメリカ)
IBF エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)
WBO 同じくエマヌエル・ナバレッテ

つまり10月24日にまとまるのは「4本のうち3本」で、WBAの1本だけは別の場所に残ります。ここが後で効いてきます。

なお、この階級はWBCにもWBAにも暫定王者(王者がケガなどで戦えないときに置かれる、もう1人の王者)がいます。WBCがライアン・ガーナー、WBAがエルヌール・サメドフです。ベルトの本数の数え方が気になる方は、王座の種類のちがいもあわせてどうぞ。

その3本のうち2本に、力石政法が手をかけていた

ここからが本題です。10月24日にまとまる3本のうち、IBFとWBCの2本は、どちらも力石政法が一度は手をかけたベルトです。

2023年8月 同年9月30日にIBF王者ジョー・コルディナへの挑戦が内定していたが、消滅。兄の矢吹正道が明かした
2024年3月22日 イタリアでミケーレ・マグネッシに最終回に3度のダウンを奪って12回2分34秒TKO勝ちWBCシルバー王座を獲得。日本の各社はこの試合を「WBC世界同級挑戦者決定戦を兼ねる」と報じ、フォスターへの挑戦権を得たと伝えている(※下に注記あり)
2025年5月28日 横浜BUNTAIで空位のIBF王座決定戦。エドゥアルド・ヌニェスに12回0-3の判定負け

順番に見ると、こういうことになります。

IBFのベルトには2度近づいて、2度とも届きませんでした。1度目は決まりかけていた試合そのものが消え、2度目は決定戦のリングに立って判定で負けています。

WBCのベルトには、もっと近づいていました。2024年3月にイタリアまで乗り込んで、8回まで劣勢だった試合を最終回にひっくり返した一戦です。

※ここは正確に書いておきます。この試合について、日本のメディアの多くは「WBC世界同級挑戦者決定戦を兼ねる」と伝えており、力石はフォスターへの挑戦権を得たとされています。ただしWBC自身が力石を指名挑戦者として公示した記録までは、当サイトでは確認できませんでした。確実に言えるのは、力石がWBCシルバー王座を獲り、WBCのランキング上位に入ったところまでです。

そしてそのフォスター戦は、いまも行われていません。フォスターはそのあとロブソン・コンセイソンとの再戦、スティーブン・フルトン戦、レイモンド・フォード戦と進み、次がナバレッテです。なぜ力石戦にならなかったのかは公表されていません。分かっているのは、力石がイタリアで勝った日から10月24日まで946日が経つ、ということだけです。

力石本人は止まっていません。2026年4月13日、後楽園ホールでリト・パデナスに8回KO勝ちして再起しています。通算19戦17勝(12KO)2敗。ただ、あの日イタリアで手にしたものが試合の形にならないうちに、相手のベルトのほうが1本から3本になろうとしている——それが10月24日のもう一つの意味です。

力石は負けた。でも、ヌニェスの「27連続KO」は止めた

力石が負けた2025年5月28日の試合には、あまり書かれていない一点があります。

相手のエドゥアルド・ヌニェス(メキシコ)は、プロデビューからその日まで、勝った27試合すべてがKO勝ちでした。判定まで行った勝ち星がひとつもない選手です。

その連続KOを止めたのが、力石でした。力石は12回を立ち切り、ヌニェスに初めて「判定での勝利」を書かせています。負けはしましたが、倒されてはいません。

そしてその9か月後、ナバレッテはそのヌニェスを11回で止めました。ヌニェスにとってプロ初のKO負けです。

2025年5月28日 ヌニェス 判定3-0 力石政法(横浜BUNTAI・IBF王座決定戦)→ ヌニェスの27連続KOが止まる
2026年2月28日 ナバレッテ 11回1秒TKO ヌニェス(米アリゾナ州・IBF/WBO統一戦)→ ヌニェス初のKO負け

並べるとこうなります。力石が最後まで立っていた相手を、ナバレッテは倒した。

ただし、ここから「ナバレッテのほうが力石より強い」とは言えません。相手が同じでも、時期も体調も試合の組み立ても違います。共通の相手をはさんだ比べ方は、当たらないことのほうが多いです。ここでは「同じ人の名前が、両方に出てくる」というところまでにしておきます。

IBFの1本は、2021年に日本人が巻いていた

もう1人います。尾川堅一(帝拳ジム・38歳)です。10月24日にまとまるIBFのベルトは、5年前に尾川が巻いていたものです。

このベルトが尾川からジョー・コルディナ、そしてカカーチェへ渡った流れは、12月19日の記事で書きました。ここでは、そこに書かなかったほうの話をします。尾川はこのベルトを、リングの上では2度勝ち取っています。ただし王座として認められたのは、2度目だけでした。

2017年12月9日 ラスベガスでテヴィン・ファーマーに12回2-1の判定勝ち。いったんはIBF王座獲得と報じられた
2018年4月18日 試合4日前のドーピング検査で陽性反応が出ていたことが判明し、ネバダ州が結果を「無効試合」に訂正。王座獲得そのものが取り消された
2021年11月27日 ニューヨークでアジンガ・フジレに12回3-0の判定勝ち。4年越しで、同じIBFのベルトを改めて獲得
2022年6月4日 ウェールズでジョー・コルディナに2回1分15秒KO負け。防衛0で陥落

そのあと、このベルトはこう動きました。かっこの中は選手の国です。

尾川 堅一 2021年11月〜2022年6月(日本)
ジョー・コルディナ 2022年6月〜2022年11月(英国・ウェールズ)※手の負傷で指名試合を回避し、剥奪
シャフカッツ・ラヒモフ 2022年11月〜2023年4月(タジキスタン)※空位の決定戦でゼルファ・バレットに9回TKO勝ち
ジョー・コルディナ(2度目) 2023年4月〜2024年5月(英国・ウェールズ)※ラヒモフに12回2-1で勝って返り咲き
アンソニー・カカーチェ 2024年5月〜2025年1月31日に自分から返上(英国・北アイルランド)
エドゥアルド・ヌニェス 2025年5月〜2026年2月(メキシコ)※力石政法との決定戦で獲得
エマヌエル・ナバレッテ 2026年2月〜(メキシコ)

ここで、力石の話がもう一度つながります。力石が2023年に挑戦するはずだったコルディナは、この「2度目の在位」のコルディナでした。

尾川は今も現役です。2026年4月4日、後楽園ホールでロンベックス・カプロイに10回3-0の判定勝ち。通算成績は32勝(22KO)2敗1分1無効試合です。

力石が届かなかったリングで、462日後に世界王者が生まれた

力石とヌニェスが戦った横浜BUNTAIは、その日がプロボクシング興行の初開催でした。メインは武居由樹の世界戦で、力石戦はそのセミファイナルです。

そして、そこから462日後の2026年9月2日、同じ横浜BUNTAIで石井武志が65秒KOでWBA世界ミニマム級王者になりました。力石と同じ大橋ボクシングジムから、6人目の世界王者です。同じ夜に吉良大弥もWBA世界ライトフライ級王者になっています。

もちろん、これは会場が同じというだけの偶然です。ただ、同じジムの選手が同じリングで世界に届かなかった夜と、届いた夜が、1年3か月しか離れていない——という並びではあります。

石井武志65秒KO・吉良大弥も世界王者|9月2日の結果

まとまらない1本=WBA。そこに日本人がいる

ここまで書いてきた3本は、10月24日に1人のものになるかもしれません。ですが、日本のファンにとって近いのは、まとまらないほうの1本です。

WBA王者はアンソニー・カカーチェこの人は、10月24日にまとまる3本のうちの1本(IBF)を、2025年1月に自分から手放した男です。手放したあとWBAへ移り、2026年3月14日にダブリンでジャザ・ディケンズを破って、いまのベルトを巻いています。

そのカカーチェに対して、堤駿斗(27歳・志成ジム)が挑戦権を持っています。2026年7月14日、後楽園ホールでフェリックス・バティスタを2回1分25秒TKOで倒して手に入れたものです。

ただし、カカーチェの12月19日はニック・ボールとの防衛戦で埋まっており、列の前には暫定王者サメドフもいます。ここは別の記事に整理してあります。

カカーチェの前には、すでに2人が並んでいた|12月19日ベルファスト

まとめると、日本から見た10月24日はこうなります。日本人が近づいた2本を含む3本が1人のところへ集まっていき、日本人の挑戦権が残っているのは、その輪から外れた4本目のほうだということです。ただし、堤の世界挑戦がいつになるかは、まだ決まっていません。

ナバレッテが勝つと、「同じ階級で3本」は現役3人目

当サイトのボクシング世界王者一覧(全17階級)を2026年9月4日時点で数え直すと、同じ階級で主要4団体の正規王座を3本以上持っている現役選手は2人だけです。暫定王座とリング・マガジン王座は数に入れていません。

井上尚弥 スーパーバンタム級で4本すべて
ドミトリー・ビボル ライトヘビー級で3本(WBA・IBF・WBO)

ナバレッテが10月24日に勝てば、この列に3人目として並ぶことになります。すでにスーパーバンタム級・フェザー級・スーパーフェザー級の3階級で王者になっている選手なので、そこに「1階級で3本」が加わる形です。(10月24日はリング・マガジン王座もかかりますが、ここでは4団体の本数だけを数えています。)

逆にフォスターが勝った場合は、フォスターが3本を持ち、32歳にして初めて「統一王者」の肩書きを手にすることになります。

同じ日のほかの試合

  • アルベルト・ゴンサレス(アメリカ・18戦全勝11KO)対 エドワード・バスケス(アメリカ・20勝6KO3敗1無効) フェザー級10回戦。ゴンサレスはIBF9位・WBO12位で、バスケスは世界挑戦2度の経験者
  • フランク・マーティン(アメリカ・19勝13KO1敗1分)が10回戦に出場(相手は未定)。マーティンはスーパーライト級(140ポンド)の選手で、2024年6月にジェルボンテ・デービスに8回KOで敗れ、2026年2月にはナヒル・アルブライトと引き分けています。今回がトップランク移籍後の初戦です

選手のプロフィール

この記事に出てくる選手の戦績・経歴は、選手名鑑にまとめています。

選手名鑑(あいうえお順・団体別でさがせます)

関連ページ

戦績・日程は2026年9月4日時点の公開情報にもとづきます。誤りがあればご指摘ください。