2026年9月2日(水)、横浜BUNTAIで世界タイトルマッチが2つ行われます。メインが吉良大弥 vs カルロス・カニサレス(WBA世界ライトフライ級)、セミが石井武志 vs ウィルフレド・メンデス(WBA世界ミニマム級)。吉良も石井も、これが初めての世界タイトルマッチです。そしてどちらも王座決定戦=いま王者がいないベルトを争う試合です。

ここで一つ、ニュースがあまり書いていないことがあります。2人が勝って新王者になっても、その階級のWBA王者は「2人」になります。ライトフライ級にもミニマム級にも、別のWBA王者が残るからです。

しかもその理由は、2つの階級で正反対です。順番に見ていきます。

まず実務のこと|開演は16時、地上波はありません

項目 内容
大会名 NTTドコモ presents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ
日にち 2026年9月2日(水)
会場 横浜BUNTAI(神奈川県横浜市)
時間 開場 15:00/開演 16:00(予定)
テレビ放送 なし
配信 Leminoプレミアムの独占生配信(月額1,540円・税込)。見逃し配信は2026年9月2日15:00〜9月16日23:59
無料で見られる? いいえ。ただしLeminoプレミアムの初回契約は初月無料。「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」の契約者は「選べる特典」でLeminoを選べば追加料金なし

🔴 開演時刻は、7月末の発表(開場14:00/開演15:00)から1時間うしろにずれています。この記事はLemino公式の特設サイト(開場15:00/開演16:00)に合わせています。古い記事を見て15時に合わせると1時間待つことになるので、ご注意ください。

平日の水曜、夕方4時開演です。仕事や学校のある時間帯にかかるので、リアルタイムで見るなら先に予定を空けておく必要があります。見逃し配信があるので、あとから見る手もあります。

全6試合の順番|OPBF戦は延期になりました

階級・タイトル 対戦
1 スーパーフェザー級 8回戦 嶋田淳也 vs サタポーン・サアット
2 フェザー級 8回戦 大橋蓮 vs 北本慶伍
3 日本ミニマム級タイトルマッチ 10回戦 森且貴 vs 杉浦義
4 61.0kg契約 8回戦 藤木勇我 vs ジュフェル・サリナ
5(セミ) WBA世界ミニマム級王座決定戦 12回戦 石井武志 vs ウィルフレド・メンデス
6(メイン) WBA世界ライトフライ級王座決定戦 12回戦 吉良大弥 vs カルロス・カニサレス

🔴 もともと組まれていた第5試合(OPBF東洋太平洋フェザー級王座決定戦・中嶋一輝 vs 大湾硫斗)は延期になりました。大橋ボクシングジムの大橋秀行会長が2026年8月1日に発表したもので、理由は中嶋が練習中に足首を痛めたためです。対戦カードの一覧を載せているサイトの中には、いまも7試合のまま掲載しているところがあります。

6試合のうち2試合が日本人どうし(第2・第3試合)です。メインは6試合の最後なので、始まるのは夜に入ってからになる見込みです。なお対戦カードと試合時間は変更になる場合があると公式サイトに書かれています。

ここが今回の核|勝っても、その階級のWBA王者は2人になります

WBAは、1つの階級に王者を何人も同時に認めることがある団体です。区分はこうなっています。

区分 意味
スーパー王座 他団体のベルトも持っている選手などに与えられる、格上の王座
レギュラー王座 WBAの通常の王座。スーパー王者がいる階級では、WBAの王者が2人いることになる
休養王座 正規の王者がケガなどで長く休むときの区分。ふつうは復帰すれば戻る

9月2日に決まるのは、どちらもレギュラー王座です。ただし、「なぜ空いているのか」が2つの階級でまるで逆です。かたや王者が自分から手放したから、かたや王者がケガで外されたからです。

試合 なぜレギュラー王座が空いているのか 残るもう一人のWBA王者
石井 vs メンデス
(ミニマム級)
日本の松本流星が2026年6月1日に返上したから。この階級はもともとWBAのベルトが2本ある形(上にスーパー王者コラーゾ)で、その下の1本を松本が持っていました オスカー・コラーゾ(スーパー王者)
15勝0敗12KO・無敗。WBO王座も持つ
吉良 vs カニサレス
(ライトフライ級)
スーパー王者はいません。唯一のWBA王者だったサンティアゴが、ケガで休養王者に移されたため空いた レネ・サンティアゴ(休養王者)
WBO王座も持つ

ミニマム級のほうは、WBAではよくある形です。日本にも同じ形の王者がいます。バンタム級の増田陸です。増田はWBAのレギュラー王者で、その上にスーパー王者のジェシー・ロドリゲスがいます。石井が勝てば、増田と同じ立ち位置のWBA世界王者になります。

この日、松本流星が置いていった2本のベルトが同じリングに出てきます

石井が取りに行くWBA世界ミニマム級レギュラー王座を、直前まで持っていたのは松本流星(28歳・帝拳ジム)です。2025年9月14日に高田勇仁を破って獲り、2026年3月15日に高田との再戦で初防衛。そして2026年6月1日付で返上しました。9月27日にWBO世界ミニマム級の暫定王座決定戦へ回るためです。

ここからが、この興行のおもしろいところです。

9月2日の試合 ベルト 松本流星とのつながり
第3試合
森且貴 vs 杉浦義
日本ミニマム級王座 森は2024年9月25日に松本に7回59秒TKO負けして王座を逃しました。その松本が王座を返上したあとの決定戦を2025年10月に勝ち、4度目の挑戦でようやく日本王者になっています
第5試合(セミ)
石井武志 vs メンデス
WBA世界ミニマム級レギュラー王座 松本が2026年6月1日に返上したベルトそのものです

つまり松本流星が手放した2本のベルトが、9月2日の同じリングに並びます。しかも守る森も、獲りに行く石井も、そろって大橋ボクシングジムの所属です。そのWBAのベルトが最後に懸けられたのも、同じ横浜BUNTAI(2026年3月15日の松本 vs 高田)でした。

そして松本本人は、25日後の9月27日に別のベルト(WBO世界ミニマム級の暫定王座)を取りに行きます。

問題はライトフライ級のほうです。こちらはもともと王者が1人しかいませんでした。

吉良が取りに行くのは「日本人3人に3連勝した男」のベルト

ライトフライ級のWBA王座が空いたのは、王者だったレネ・サンティアゴ(34歳・プエルトリコ)が練習中に左肘を痛めたからです。WBAは2026年7月28日付でサンティアゴを休養王者に移し、代わりに吉良とカニサレスでレギュラー王座決定戦をやりなさい、と決めました。

このサンティアゴという選手、日本のファンには苦い名前です。日本のリングに3回上がって、日本人3人に3連勝しています(3試合とも判定勝ち)。

日付 相手 会場 結果
2025年3月13日 岩田翔吉 両国国技館 判定3-0勝ち → WBO王座を奪う
2025年12月17日 高見亨介 両国国技館 判定2-1勝ち → WBA王座も奪って統一
2026年4月3日 谷口将隆 後楽園ホール 5回にダウンを奪い判定3-0勝ち(谷口の2階級制覇を阻止)

つまり吉良が9月2日に取りに行くベルトは、去年の12月に高見亨介が失ったベルトそのものです。そして、そのベルトを持って行った本人はまだ休養王者として残っている。WBAは決定戦を承認するときに、「サンティアゴの復帰戦の相手は、吉良 vs カニサレスの勝者でなければならない」と明記しました。

言いかえると、9月2日に吉良が勝っても、それで話が終わりません。サンティアゴが復帰できれば、その相手は決定戦の勝者になる——とWBAが先に決めているからです。

サンティアゴ側は納得していません

2026年8月11日の東京スポーツの報道によると、サンティアゴの代理人弁護士がWBAに書簡を送っています。これはWBAが認めた事実ではなく、サンティアゴ側の主張ですが、要旨は「返上したわけでも、指名試合を拒んだわけでも、協力を怠ったわけでもない。試合に出られないのは、王者の義務を果たすための練習で負ったケガが原因だ」というものです。

WBAの休養王座の扱いは、この夏に続けて注目を集めています。日本の堤聖也もその一人です。堤はバンタム級の休養王者でしたが、2026年7月31日発表の最新ランキングで休養王者の扱いから外れ、同級1位に戻されました。試合に負けたわけではありません。当初「最長6か月の休養を認める」とされていたのが、およそ2か月で終わった形です。

石井武志の相手は「日本人に2度負けている元世界王者」

セミの石井武志(26歳・大橋ジム)は、福岡県うきは市の出身で身長156cm。キックボクシングから転向した選手で、キックでは4戦全勝(3KO)でした。ボクシングは2022年5月にプロデビュー、同じ年に全日本ミニマム級新人王。2024年9月に東洋太平洋王座を獲り、2025年9月に2度目の防衛に成功しています。11勝(8KO)1敗、WBA世界ミニマム級2位。世界初挑戦です。

相手のウィルフレド・メンデス(29歳・プエルトリコ)はサウスポーの元WBO世界ミニマム級王者。20勝(6KO)3敗2分で同級3位。2019年8月に王座を獲りました。

メンデスは過去2度、日本人との世界戦に敗れています。

日付 相手 結果
2021年12月 谷口将隆 11回TKO負け(WBO王座から陥落)
2023年4月 重岡優大 7回KO負け(WBC暫定王座決定戦)

日本人に2度止められている選手が、3人目の日本人と世界戦をやる。メンデスにとっては2度目の世界王座獲得がかかっています。

ちなみにメインのカニサレスも、日本人と3回戦っています。2016年の大晦日に田口良一と引き分け、2018年に小西伶弥を破ってWBA王座を獲り、2024年1月に寺地拳四朗に僅差の判定で負けました。9月2日にリングへ上がる外国人2人は、どちらも日本で世界戦を経験しています。

2人とも勝つと、日本人の世界王者は6人から8人になります

いま世界のベルトを持っている日本人は6人・9本です(男子のみ・休養王者は数えていません)。

選手 階級・団体
井上尚弥 スーパーバンタム級 WBA(スーパー)・WBC・IBF・WBO(4本)
増田陸 バンタム級 WBA(レギュラー)
井上拓真 バンタム級 WBC
寺地拳四朗 スーパーフライ級 WBO
矢吹正道 フライ級 IBF
岩田翔吉 ライトフライ級 WBC

9月2日に吉良と石井がそろって勝てば8人・11本になります。そしてライトフライ級には、WBCの岩田翔吉とWBAの吉良大弥で、日本人の世界王者が2人並びます。団体が違えば同じ階級に複数の王者がいるのは普通のことですが、その岩田こそ、さきほどのサンティアゴにWBO王座を奪われた選手です。ライトフライ級はいま、日本人とサンティアゴの因縁で回っています。

さらに9月は27日にPrime Video Boxing 16があり、こちらでも世界戦が組まれています。9月が終わったとき、この表が何行になっているか。それが今月いちばんの見どころです。

【9月1日 追記】計量は4人とも一発クリア

前日計量は9月1日に行われ、吉良大弥48.9kg/カルロス・カニサレス48.3kg/石井武志47.5kg/ウィルフレド・メンデス47.3kgで全員がクリアしました。第4試合の藤木勇我は60.9kg、ジュフェル・サリナは60.2kg(61.0kg契約)です。

誰も体重超過をしていないので、この記事で書いた「勝てばWBA王者は2人になる」という構図はそのままです。超過があるとベルトの扱いが変わることがありますが、今回はその心配がなくなりました。

計量の数字と、そこから読めることはこちら(結果ページ)

まとめ

  • 9月2日(水)横浜BUNTAI、開場15:00・開演16:00(7月末の発表から1時間うしろにずれました)
  • 地上波なし。Leminoプレミアムの独占配信(月額1,540円・初回は初月無料)。無料では見られません
  • メイン=吉良大弥 vs カニサレス、セミ=石井武志 vs メンデス。どちらもWBAレギュラー王座決定戦
  • 勝っても、ミニマム級にはスーパー王者コラーゾが、ライトフライ級には休養王者サンティアゴが残る。空いている理由は正反対
  • 吉良が狙うのは、日本人3人に3連勝したサンティアゴが持っていたベルト
  • 2人とも勝てば、日本人の世界王者は6人9本から8人11本

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選手名鑑(あいうえお順・団体別でさがせます)

情報は2026年8月30日時点。出典=Lemino公式特設サイト/NTTドコモ公式リリース(2026年7月29日)/日本語版Wikipedia「レネ・サンティアゴ」「石井武志」/英語版Wikipedia「Wilfredo Méndez」「Oscar Collazo」/スポーツ報知/ボクシングニュース/東京スポーツ(2026年8月11日)。