【10月19日追記】この試合は中止になりました。フィゲロアが前日計量で体重を落としきれずに王座を失い、試合当日に体調不良で棄権しました。WBA世界フェザー級の王座は空位です。亀田の挑戦権がこれからどうなるかはこちらの記事にまとめています。

2026年10月17日(日本時間18日)、ラスベガス。亀田和毅が挑むWBA世界フェザー級王者ブランドン・フィゲロア(29歳・アメリカ)は、この試合で初めて名前を知る日本のファンも多い選手だと思います。

ですが戦績を1試合ずつ並べると、この選手は日本のボクシングと、すでに何度もつながっています。井上尚弥からダウンを奪ったルイス・ネリを、井上より約3年早く倒しているのもこの選手です。

30秒でわかるブランドン・フィゲロア

  • 負けたのは2回だけ。相手はどちらもスティーブン・フルトンで、どちらも判定。再戦では当たったパンチの数で214対143と差をつけられた
  • 2021年、井上尚弥・山中慎介と戦ったルイス・ネリを7回KO。ネリにとってプロ初めての負けだった
  • 王座を取ったニック・ボール戦は最終12回のTKOだが、止めた時点の採点ではジャッジ3人のうち2人がすでにフィゲロアを上にしていた
  • 兄オマールも元WBC世界王者。2013年に日本の荒川仁人と激しく打ち合い、WBC暫定王座を取っている

日本語では「ブランドン・フィゲロア」「ブランドンフィゲロア」「フィゲロア」と書かれます(英語表記は Brandon Figueroa)。当サイトでは「ブランドン・フィゲロア」で統一します。プロフィールと2019年以降の全13戦の表は選手名鑑のページにまとめ、この記事では「どんな選手なのか」を試合の中身から読み解きます。

1.負けたのは2回だけ。どちらも同じ相手だった

フィゲロアはプロで30戦して27勝(20KO)2敗1分。黒星は2つしかなく、2つとも相手はスティーブン・フルトン(アメリカ)です。

日付 試合 結果
2021年11月27日 WBC・WBO世界スーパーバンタム級の王座統一戦(ラスベガス) ● 12回 判定2-0
2025年2月1日 WBC世界フェザー級タイトルマッチ(ラスベガス) ● 12回 判定3-0(117-111、116-112、116-112)

1回目の「判定2-0」は、3人のジャッジのうち2人がフルトンの勝ち、1人が引き分けと採点したという意味です。ほぼ互角の試合でした。

ところが3年あまりたった再戦では、3人とも4〜6点の差でフルトン。当たったパンチの数はフルトン214発、フィゲロア143発で、70発以上の差がつきました(アメリカの興行団体PBCの発表)。試合後、フィゲロアは「彼は正々堂々と勝った」と負けを認めています。

27勝のうち20勝をKO・TKOで取ってきた選手が、距離を取りながら手数で上回ってくるフルトンにだけは、2回続けて判定で届かなかった。ここはフィゲロアを知るうえでいちばん大事な記録です。

一方の亀田和毅は、プロで5回負けていますが5回とも判定で、5回とも12ラウンドを戦い切っています。亀田がフルトンのように最後まで距離とペースを保てるか。10月17日は、そこが見どころの1つになります。

2.井上尚弥より約3年早く、ルイス・ネリを倒していた

日本のファンにとって、いちばんなじみのある名前が出てくるのはこの試合です。

2021年5月15日、米カリフォルニア州カーソン。フィゲロアはルイス・ネリ(メキシコ)を7回2分18秒でKOしました。当時フィゲロアはWBA(レギュラー)王者、ネリはWBC王者。勝ったフィゲロアはWBCのベルトも手にしました。

ネリは2017年と2018年に山中慎介を2度倒した選手で、2024年5月6日の東京ドームでは井上尚弥から1ラウンドにダウンを奪った選手でもあります(試合は井上の6回KO勝ち)。

日付 ネリの相手 ネリから見た結果
2021年5月15日 ブランドン・フィゲロア ● 7回KO負け(プロ初黒星)
2024年5月6日 井上尚弥 ● 6回KO負け
2026年6月6日 ジョン・リエル・カシメロ ● 4回TKO負け

ネリがプロで負けた3試合のうち、最初の1つをつけたのがフィゲロアです。PBCの選手紹介によると、決め手は左のボディでした。

3.ニック・ボール戦|採点では、すでに2人がフィゲロアを上にしていた

フィゲロアがいまのWBA王座を取ったのは、2026年2月7日、イングランド・リバプール。相手は地元の王者ニック・ボールで、WBAが「この2人で戦いなさい」と命じた指名試合でした。

決着は最終12回が始まって32秒。短い左フックでボールを倒し、立ち上がったところにたたみかけ、ボールがロープの外へ体を預けたところでレフェリーが止めました。

試合を伝えたBoxingNews24は、11回までをボールがわずかに優勢で、判定ならボールが僅差で勝ちそうな流れだったと伝えています。ところが、11回終了時点の公式の採点はこうでした。

ジャッジ 11回終了時点の採点
1人目 106-103 フィゲロア
2人目 106-103 フィゲロア
3人目 107-102 ボール

3人のうち2人は、すでにフィゲロアを上につけていました。報道の見方と公式の採点が分かれていた試合で、最後にKOで決着をつけた、というのが記録から言えることです。

ESPNは、この試合のフィゲロアについて「体の大きさで上回りながら、あえて近い距離で戦い、後半に手数を増やした」と伝えています。本人は試合後に「自分が主導権を握っていると感じていた」と話しました。

4.どんな戦い方をする選手か

  • ボディを打ち続ける。ネリを倒したのも左のボディ。ボール戦でもトレーナーのマニー・ロブレスから「ボディを打て」と指示され、ボディを攻め続けた
  • 体は大きいのに、近い距離で戦う。身長175cm・リーチ184cmあるが、離れて打つより、前に出て打ち合う形を好んできた
  • 終盤でも手数が落ちない試合がある。2019年以降でも、10回以降にTKOで終わらせた試合が2つある(2020年のデミアン・バスケス戦=10回TKO、ボール戦=12回TKO)。2025年のジョエット・ゴンザレス戦(WBAの挑戦者決定戦・判定3-0で勝ち)も、後半に圧力とボディ攻めを強めて流れをつかんだ
  • 負けたのは、フルトンのように距離を取って手数で上回る相手の2試合だけ。

亀田和毅と体の大きさを比べると、身長はフィゲロアが4cm高く(175cm対171cm)、リーチ(両腕を広げた長さ)は14cm長い(184cm対170cm)。数字の上ではフィゲロアが離れて戦うほうが有利に見えますが、これまでの試合では、長い腕を持ちながら近い距離での打ち合いを選んできました。

5.兄オマールと日本

フィゲロアには、同じく世界王者になった兄がいます。オマール・フィゲロア・ジュニアです。

兄オマールは2013年7月27日、日本の荒川仁人と、空いていたWBC世界ライト級の暫定王座(正規の王者が試合できないときなどに置かれる仮の王座)を争い、判定で勝ちました。12回を通して激しく打ち合った試合で、英語版Wikipediaにも「実際に見なければ信じられない」という評が残っています。オマールはその後、2014年1月に正規のWBC世界ライト級王者に上がりました。

ブランドン本人は、2026年7月の東京スポーツの取材で、兄の試合についてこう話しています。

「兄も日本人ボクサーと対戦し、激しい試合を繰り広げました。その試合は年間最高試合に選ばれたこともあり、日本では僕と兄のことはよく知られています」

同じ取材で、亀田戦については「今は亀田和毅選手に集中している」、井上尚弥との対戦の可能性については「実現可能な試合だと思う」と答えています。

6.亀田和毅との試合|いつ・どこで

日時 2026年10月17日(土・現地)/日本時間18日(日)
興行の開始 日本時間18日(日)午前9時(米東部20時・米西部17時)
会場 ザ・コスモポリタン・オブ・ラスベガス内「ザ・チェルシー」
試合 WBA世界フェザー級タイトルマッチ12回戦(フィゲロアの初防衛戦)
並び セミファイナル(メインの1つ前の試合。主催者の表記はコメインイベント)。メインはセバスチャン・フンドラ vs エルマル・ハドリベアイのWBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
アメリカの中継 TNT・DAZN(主催のPBC発表)
日本での配信 2026年9月25日時点で、公式の発表は確認できていません。決まりしだい、この記事とどこで見られる?に追記します

9月24日(現地)のオンライン記者会見で、フィゲロアは「ロサンゼルスに来たのには理由がある。勝つことを確実にしたかった」と話しました。ロサンゼルスで3か月かけて準備しているとのことです。亀田和毅は「メキシコでの練習はとても充実している。準備を整えて、ファンにいい試合を見せる」と答えています。

2人の共通の対戦相手(ヨンフレス・パレホ)や、亀田和毅の5敗の中身は、亀田和毅 vs フィゲロアの試合の記事にまとめています。

この記事の出典

戦績・日程は2026年9月25日時点の公開情報にもとづきます。誤りを見つけられた場合はご指摘ください。