2026年9月27日、那須川天心井上拓真のWBC世界バンタム級王座に挑戦します。10か月前に一度負けている相手への、再挑戦です。

この記事では、那須川天心という選手を戦績の数字だけで見ていきます。勝った負けたの印象ではなく、9試合の中身を並べると何が見えるか、という話です。

30秒でわかる 那須川天心

ひとことで キックボクシングで42戦全勝。ボクシングに転向して4年目で、2度目の世界挑戦
年齢・身長 28歳(1998年8月18日生まれ)/165cm
所属 帝拳ボクシングジム
ボクシング戦績 9戦8勝(3KO)1敗
キックボクシング戦績 42戦42勝 無敗
唯一の黒星 2025年11月24日/井上拓真に12回判定0ー3
次の試合 2026年9月27日/WBC世界バンタム級タイトルマッチ(Prime Video Boxing 16

1. 公式戦51試合で、一度も倒されていません

ボクシング9戦とキックボクシング42戦を足すと51戦です。この51戦で、那須川がダウンを奪われた試合はありません

唯一の黒星も、倒された試合ではありません。2025年11月24日の井上拓真戦は12ラウンドを戦い切っての判定負けでした。

🔴 ただし、多くの人が覚えている「倒された試合」が1つあります。2018年12月31日、RIZIN.14でのフロイド・メイウェザーとのエキシビションです。1ラウンド2分19秒、3度倒されて陣営がタオルを投げました。

この試合はエキシビション(公式戦ではない)なので、キックボクシングにもボクシングにも戦績としては残っていません。当時の那須川は20歳、階級も5kg近く違いました。「戦績に無い」のは事実ですが、「無かったこと」ではありません。ここは分けて覚えておくと混乱しません。

2. ボクシング9戦の中身

デビューから9試合を、順番に並べます。

No. 日付 相手 結果
1 2023年4月8日 与那覇勇気 判定3ー0 ○
2 2023年9月18日 ルイス・グスマン 判定3ー0 ○
3 2024年1月23日 ルイス・ロブレス 3回TKO ○
4 2024年7月20日 ジョナサン・ロドリゲス 3回1分49秒TKO ○
5 2024年10月14日 ジェルウィン・アシロ 判定3ー0 ○
6 2025年2月24日 ジェイソン・モロニー 判定3ー0 ○(97-93/97-93/98-92)
7 2025年6月8日 ビクター・サンティリャン 判定3ー0 ○(99-91/99-91/100-90)
8 2025年11月24日 井上拓真 判定0ー3 ●(112-116/112-116/111-117)
9 2026年4月11日 ファン・フランシスコ・エストラーダ 9回終了TKO ○

9戦のうち6戦が判定、倒して終わったのは3戦です。そしてその3戦のうち2つは、デビュー3戦目と4戦目という早い時期に出ています。

キックボクシング時代のKO率とは、まるで別の数字です。転向してからの那須川は「倒す選手」ではなく「判定で勝ち切る選手」の数字をしています。ここが、9月27日にどう出るかの分かれ目です。

3. 元世界王者を2人、続けて倒しています

9戦の相手のうち、世界王座の経験があるのは2人です。

  • ジェイソン・モロニー(6戦目・2025年2月24日)=前WBO世界バンタム級王者。2020年に井上尚弥へ挑戦してTKO負け、2024年に武居由樹にベルトを奪われた選手です。那須川は3人のジャッジ全員が4〜6ポイント差をつける完勝でした
  • ファン・フランシスコ・エストラーダ(9戦目・2026年4月11日)=2階級を制した名選手。9ラウンド終了時に相手陣営が棄権を申し入れる形での勝利でした

🔴 ただし、この2人はどちらもキャリアの後半にいた選手です。「元世界王者に勝った」という一行だけを見て、いまの井上拓真と同じ物差しに乗せることはできません。エストラーダ戦は指名挑戦者を決めるための試合で、勝った意味は「もう一度チャンスをもらえた」ところにあります。

4. ここは間違えやすい|サンティリャン戦は井上戦の「前」です

那須川の直近の試合を「サンティリャン戦」だと書いている資料があります。これは並び順の取り違えです。

  • 2025年6月8日 サンティリャン戦(勝ち)=井上戦の前
  • 2025年11月24日 井上拓真戦(負け)
  • 2026年4月11日 エストラーダ戦(勝ち)=井上戦のあと、唯一の試合

つまり井上に負けたあと、那須川が戦ったのは1試合だけです。「2連勝して戻ってきた」という書き方を見かけますが、正しくは1勝です。

🔴 正直に書きます。この記事を書く前、当サイトも同じ間違いをしていました。那須川の選手ページと関連記事の5ページで、サンティリャン戦の年を1年ずらして書いており、その結果「2連勝」という誤りが広がっていました。2026年9月14日にすべて訂正しています。1年のずれ1つで、ここまで話が変わります。

5. キックボクシング時代の42戦42勝

ボクシングに転向する前、那須川はキックボクシングで42戦42勝・無敗のまま引退しています。

格闘技で「無敗のまま別競技へ移る」のは、めずらしい終わり方です。ふつうは負けて限界が見えてから移るか、勝ち続けてその競技に留まるかのどちらかになります。

その意味で、那須川にとって井上拓真戦の黒星は、競技人生で初めての「負け」でした。51戦目にして初めての黒星が、世界王座決定戦だったことになります。

6. 9月27日の見どころを3つに絞ると

  • ①「倒しに行くか、点を取りに行くか」=那須川の9戦は6戦が判定。前回も判定で負けています。エストラーダ戦で作った「押し込んで止める形」を、同じ相手に再現できるかどうか
  • ②「初めて2度目がある相手」=那須川は51戦して、同じ相手と2度戦ったことがありません。前回の映像が手元にある状態での試合は、キャリアで初めてです
  • ③ 王者側のKO率=井上拓真は22勝のうちKOが5つ。「倒さないが、倒されもしない」数字をしています。倒されたことのない挑戦者と、倒しに来ない王者。12ラウンド戦えば、決着は採点に委ねられます

王者・井上拓真の戦績も、同じように1戦ずつ並べています。

【深掘り】井上拓真は24戦してKO負けが一度もない|那須川天心との再戦

この試合の勝敗予想は、別の記事にまとめています。

【予想】井上拓真 vs 那須川天心|前回の「116-112」は僅差じゃない。那須川が勝つ道は1本しかない

当日の全カードと時刻は、こちらです。

井上拓真vs那須川天心は何時から?全カードと配信(9月27日)

この記事で使った出どころ

  • 戦績の並び=Wikipedia(日本語版「那須川天心」)を土台に、試合ごとに別の媒体で照合しました
  • モロニー戦(2025年2月24日・判定3ー0/97-93、97-93、98-92)=中日スポーツ、SPAIA
  • サンティリャン戦(2025年6月8日・有明コロシアム・判定3ー0/99-91、99-91、100-90)=ゴング格闘技、デイリースポーツ、boxingnews.jp
  • エストラーダ戦(2026年4月11日・両国国技館・9回終了TKO)=ゴング格闘技、eFight
  • メイウェザーとのエキシビション(2018年12月31日・RIZIN.14・1回2分19秒TKO・3ダウン)=AFPBB、eFight

🔴 数字が媒体によって食い違ったものは、2つ以上が一致した内容だけを書いています。確かめられなかったことは書いていません。誤りを見つけられた場合は、ご指摘いただけると助かります。