2026年8月31日、ONE Championshipが『ONE SAMURAI 3』の追加3カードを発表し、9月の日本大会のラインナップが確定しました。翌月の『ONE SAMURAI 4』のカードも、ほぼ出そろっています。

  • ONE SAMURAI 3=9月12日(土)神奈川・横浜BUNTAI(17時30分開始)
  • ONE SAMURAI 4=10月17日(土)東京・有明アリーナ(開場14時30分/開始16時)

2つの大会の間は35日。どちらもU-NEXTで配信されます。

並べてみると、性格がはっきり分かれています。

9月12日の横浜は全10試合で、タイトルマッチが1本もありません。10月17日の有明には、世界王座戦が並びます。そして、この2大会の両方に名前があるのは吉成名高(よしなり なだか)ただ1人です。

しかも吉成が9月12日に戦うのは、自分がベルトを持っているムエタイではなくキックボクシングルール。ヒジ打ちの使えないルールで、ONEでは初めての挑戦です。

ONE SAMURAI 3(9月12日・横浜BUNTAI)|全10試合、ベルトは0本

ONE公式サイトに掲載されている10試合は、次のとおりです。

ルール/階級 カード
キックボクシング
アトム級(52.2kg)
吉成 名高(エイワスポーツジム)vs ハーリンオム(ミャンマー)
MMA
フライ級(61.2kg)
若松 佑弥(TRIBE TOKYO MMA)vs ウィリー・ファン・ローエン(南アフリカ)
ムエタイ
フライ級(61.2kg)
吉成 士門(エイワスポーツジム)vs スーブラック・トープラン49(タイ)
キックボクシング
フライ級(61.2kg)
陽勇(Team Mehdi Zatout/TEAM3K)vs 常陸 飛雄馬(TARGET SHIBUYA)
ムエタイ
アトム級(52.2kg)
奥脇 竜哉(エイワスポーツジム)vs チョーディー・マクジャンディー(タイ)
キックボクシング
フライ級(61.2kg)
吉田 晄成(TEAM TEPPEN)vs ジャオ・ジェンドン(中国)
MMA
ストロー級(56.7kg)
箕輪 ひろば(STF)vs 宮澤 雄大(K-Place)
MMA
ストロー級(56.7kg)
※8月31日追加
伊藤 盛一郎 vs 黒部 和沙(TRIBE TOKYO M.M.A.)
ムエタイ
ストロー級(56.7kg)
※8月31日追加
品川 朝陽 vs トゥアキアオ(タイ)
キックボクシング
フェザー級(70.3kg)
※8月31日追加
愛志 vs 田中 佑樹

10試合すべてがノンタイトル戦です。現ONEムエタイ・アトム級王者の吉成名高も、元ONEフライ級MMA王者の若松佑弥も、この日はベルトを懸けずに戦います。

8月31日に追加された3試合は、いずれもONEデビュー戦を含むカードです。黒部和沙(24=7勝2敗1分)、トゥアキアオ(29)、愛志(20=7勝3敗)、田中佑樹(22)の4人が、この日ONEのリングに初めて上がります。伊藤盛一郎(32)は元パンクラス・フライ級王者で、ONEでの初勝利を狙う一戦です。

9月12日の吉成名高は「ヒジのないルール」|ONEでは初めて

この大会のメインに置かれたのが、吉成名高 vs ハーリンオムです。

吉成名高(25=エイワスポーツジム)は、日本語版Wikipediaによれば通算77戦70勝(44KO)6敗1分。ラジャダムナン・スタジアム認定王座を3階級、ルンピニー・スタジアム認定王座、WBCムエタイのダイヤモンド王座を持ち、2025年11月に初代ONEアトム級ムエタイ世界王者になりました。ONEでは5戦5勝で、その5戦はすべてムエタイルールです。

ONEのムエタイルールで認められているヒジ打ち首相撲(クリンチ)での長い攻防は、ONEのキックボクシングルールでは使えません。BOUTREVIEWは、この一戦を吉成の「ONEキックルールに初挑戦」と伝えています。自分が世界一になった武器を置いて戦う日、ということになります。

そして相手も同じ立場です。

ハーリンオム(ミャンマー/旧名アック・チン・レイ)は、ラウェイ出身です。ラウェイはミャンマーの伝統格闘技で、素手で戦い、頭突きまで認められています。ONEでの戦績は6戦2勝3敗1無効試合。ゴング格闘技は、この試合を「両者初のキックボクシングルール」と紹介しています。

整理すると、こうなります。

これまでの主戦場 そこで使えた武器 9月12日
吉成名高 ムエタイ(ONEでは5戦5勝) パンチ・キック・ヒザ・ヒジ・首相撲 キックルールは初
ハーリンオム ラウェイ/ムエタイ パンチ・キック・ヒザ・ヒジ・頭突き(ラウェイ) キックルールは初

ヒジも頭突きも当たり前だった場所から来た2人が、そのどちらも使えないルールで会う。これが9月12日のメインです。

10試合のうち3試合が、同じジムの選手

もうひとつ、この大会には目立つ偏りがあります。

吉成名高、吉成士門、奥脇竜哉。10試合中3試合に、エイワスポーツジムの選手が出ます。さらに若松佑弥と黒部和沙の2人がTRIBE TOKYO M.M.A.で、こちらも2試合です。

吉成士門はONEで6戦5勝(2KO)1無効試合、WBCムエタイ世界ライト級王座などを持つ選手で、名高のいとこにあたります(miruhon.netは「従弟」と表記)。今回がONE本戦デビュー戦です。

ONE SAMURAI 4(10月17日・有明アリーナ)|世界戦が並ぶ

35日後の有明アリーナは、まったく違う顔になります。

ルール/階級 カード
世界戦
キックボクシング バンタム級(65.8kg)
ジョナサン・ハガティー(英国/王者)vs 秋元 皓貴(EVOLVE MMA/POWER OF DREAM)
ハガティーの3度目の防衛戦
世界戦
ムエタイ アトム級(52.2kg)
吉成 名高(王者)vs リファディン・マスドール(マレーシア)
吉成の2度目の防衛戦
キックボクシング フェザー級(70.3kg)
トーナメント準決勝
野杁 正明(team VASILEUS)vs モハメド・シアサラニ(イラン)
キックボクシング フェザー級(70.3kg)
トーナメント準決勝
マラット・グレゴリアン(アルメニア)vs ルオ・チャオ(中国)
キックボクシング ライト級(77.1kg) 安保 瑠輝也(MFL team CLUB es)vs ボグダン・シュマロフ(ブルガリア)
MMA 女子アトム級(47.7kg) 平田 樹(フリー)vs ジヒン・ラズワン(マレーシア)
キックボクシング バンタム級(65.8kg) 与座 優貴 vs ナビル・アナン(アルジェリア/タイ)

※ゴング格闘技とBOUTREVIEWは、この大会でONEフライ級キックボクシング世界戦(スーパーレック・ギャットムーカオ vs ジョナサン・ディベラ)も行われると報じています。ただし8月31日時点で、ONE公式サイトの試合一覧、ゴング格闘技の大会ページ、eFight、Ringsideのいずれにもこの試合は載っていません。本サイトは「確定」とは書かず、続報を待ちます。実現すれば世界戦は3本になります。

さらに武尊の引退セレモニーと、ONE Championship殿堂入りセレモニーが行われます。現役に区切りをつける10カウントゴングも打たれる予定です。

35日後、吉成名高はヒジのあるルールに戻る

10月17日の吉成の相手、リファディン・マスドール(マレーシア/Sor Sommai)は、2024年3月からONEに参戦して8戦7勝(5KO)1敗、現在5連勝中です(BOUTREVIEW)。

つまり吉成のこの2か月は、

  • 9月12日=ヒジなし・ノンタイトル・ONEでは初めてのルール
  • 10月17日=ヒジあり・世界王座の2度目の防衛戦・5連勝中の挑戦者

という並びになります。ゴング格闘技によると、吉成は「2種目の世界王者になる」ことを目標に挙げています。

秋元皓貴は3年11か月ぶりの王座挑戦|ハガティーは同じ会場で、すでに日本人を退けている

10月17日のメインは、秋元皓貴(34=愛知県豊田市出身)のタイトル挑戦です。

秋元は2022年3月にカピタンを破ってONEスーパーシリーズ初の日本人王者になりましたが、同年11月19日の初防衛戦でペッタノンに1-2の判定で敗れ、わずか8か月でベルトを失いました(そのペッタノンは試合後に禁止薬物の陽性反応が出て王座剥奪)。そこから3年11か月。ようやく巡ってきた挑戦です。

相手のジョナサン・ハガティー(29=英国)は、ONEでムエタイ2階級+キックボクシングの世界王座を獲った選手です。そしてこの有明アリーナで、2026年4月29日の『ONE SAMURAI 1』に出場し、与座優貴を3-0の判定で退けています。同じ会場で、続けて日本人の挑戦を受ける形です。

ただし、共通の相手を1人はさむと見え方が変わります。

共通の相手 ハガティー 秋元皓貴
ウェイ・ルイ 2025年2月20日
判定3-0(初防衛戦)
2024年5月4日 × 判定0-3
2025年11月16日 判定3-0

秋元は同じ相手に負けたあと、1年半後に勝ち返しています。挑戦権はこの勝利で引き寄せたものです。なお、4月にハガティーに敗れた与座優貴も、同じ10月17日にナビル・アナンと戦います(ONE公式サイト)。

有明アリーナは、武尊が最後に戦った場所

『ONE SAMURAI』の第1回大会は、2026年4月29日に同じ有明アリーナで開かれました。メインは武尊 vs ロッタン・ジットムアンノン。武尊は合計4度のダウンを奪って5R TKO勝ちし、ONEキックボクシング・フライ級の暫定王座を獲って、そのまま引退しました。前年3月に1R KOで敗れた相手への、勝ち逃げでの再戦でした。

10月17日は、その旗揚げ戦以来の有明アリーナです。武尊が最後に勝った場所で、引退の区切りとなるセレモニーが行われます。

そして同じ夜、武尊と同じ team VASILEUS の野杁正明が、トーナメント準決勝に出ます。野杁は8月8日の『ONE SAMURAI 2』でリウ・メンヤンに1R KO勝ちし、1回戦に出た日本勢のうち、唯一勝ち残った選手です(海人らは敗退)。

このトーナメントの優勝者には、現王者スーパーボンへの挑戦権が与えられます。野杁は2025年11月16日に、そのスーパーボンに判定で敗れています。勝ち上がった先に待っているのは、自分が負けた相手との再戦です。

ここからは本サイトの見立てです

世界王者が、防衛戦の35日前に、初めてのルールでノンタイトル戦を入れる——これは普通ではありません。ケガをすれば10月17日が飛びます。しかも吉成の直近の試合(4月29日の初防衛戦)は判定3-0の辛勝で、試合後に本人が「ここまでダメージを受けたのは初めて」「心が折れそうになった」と語る内容でした。

それでも組まれた理由は、9月12日の横浜にベルトが1本もないことと無関係ではないはずです。10月に世界戦を集めた以上、9月の大会には別の「見出し」が要ります。現役世界王者のルール初挑戦は、ベルトを動かさずに作れるいちばん強い見出しです。

吉成の側から見ても、損ではありません。ONEはムエタイとキックボクシングで別々に王座を持っている団体で、ハガティーもスーパーレックも、実際に両方のベルトを経験しています。9月に結果を出すことが、そのまま王座挑戦につながるとONEが発表しているわけではありませんが、「2本目のベルト」への足がかりにはなり得ます——というのが本サイトの見方です。

【8月31日 追記】安保瑠輝也が会見後に「総合格闘技に挑戦したい」

この記者会見(8月31日・都内)の囲み取材で、10月17日『ONE SAMURAI 4』に出場する安保瑠輝也が「ONEとの契約はあと数戦。そこまではキックで戦う」と話し、契約満了後のプランを問われて「総合格闘技に挑戦したいです」と答えました(ENCOUNT)。

10月17日のシュマロフ戦はキックボクシング・ライト級で、この発言によって当日のカードが変わるわけではありません。ただ、安保が「MMAをやる」と言うのはこれが初めてではなく、2023年12月31日にも同じことを言っています。そこから何日たって、その間に何試合したのかを数えた記事を別に書きました。

安保瑠輝也がMMAで戦った時間は、まだ4分28秒|「絶対にやります」から974日

まとめ

  • ONE SAMURAI 3=9月12日・横浜BUNTAI・全10試合・タイトルマッチ0本(8月31日に3試合追加でカード確定)。ONE SAMURAI 4=10月17日・有明アリーナ・世界戦2本+1本が報道ベース。間は35日
  • 両方に出るのは吉成名高だけ。9月はヒジの使えないキックボクシングルールで、ONEでは初めて。相手のハーリンオムはラウェイ出身で、こちらもキックルールは初
  • 9月12日は10試合中3試合がエイワスポーツジムの選手(名高・士門・奥脇)。TRIBE TOKYO M.M.A.も2試合
  • 10月17日は秋元皓貴が3年11か月ぶりの王座挑戦に臨み、武尊の引退&殿堂入りセレモニーが行われる。同じ会場は、武尊がロッタンに勝って引退した場所

数字と日程は2026年8月31日時点の公開情報(ONE Championship公式サイト、ゴング格闘技、BOUTREVIEW、eFight、Ringside、日本語版Wikipedia)にもとづきます。カードは追加・変更される場合があります。

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