安保瑠輝也がMMAで戦った時間は、まだ4分28秒|「絶対にやります」から974日
2026年8月31日、都内で開かれた『ONE SAMURAI 3・4』のメガプレスカンファレンス。囲み取材で契約満了後のプランを聞かれた安保瑠輝也(あんぽ るきや/30歳・MFL team CLUB es)が、「総合格闘技に挑戦したいです」と答えました。ONEとの契約については「あと数戦。そこまではキックで戦う」とも話しています(ENCOUNT)。ゴング格闘技の記事では、本人の言葉は「ONEとの契約はあと2戦ある」です。
見出しは「MMA再転向を明言」。ですが、安保が「MMAをやる」と言うのは、これが初めてではありません。
30秒でわかる
- 安保瑠輝也のMMAの試合は、いまも1試合だけ=2023年12月31日『RIZIN.45』の久保優太戦(1回4分28秒・リアネイキドチョークで一本負け)
- その試合の直後、安保はリング上で「悔しいんで絶対にMMAやります」と話しています
- そこから2026年8月31日の「挑戦したいです」まで974日。この間、MMAの試合は0
- 次戦は10月17日『ONE SAMURAI 4』(有明アリーナ)。これもキックボクシングで、相手はボグダン・シュマロフ
- ここだけ=安保がMMAのリングで戦った時間は、2年8か月たっても合計4分28秒のままです
「MMAやります」は2度目|前の1度は、負けた直後のリングの上だった
安保瑠輝也は第4代K-1 WORLD GPスーパーライト級王者です。立ち技での実績ははっきりしていて、そこに疑問はありません。
問題は、そこから先の3年間です。安保とMMAの距離は、発言をたどると3回変わっています。
| 時期 | 安保のMMAについての発言 |
|---|---|
| 2023年5月 (RIZIN初出場のとき) |
「男同士ゴロゴロ寝っ転がるMMA見てて面白い?」 |
| 2023年12月31日 (MMAデビュー戦の直後) |
「悔しいんで絶対にMMAやります」 |
| 2025年3月 | 総合格闘家への転向について「それは分からないです」 |
| 2026年8月31日 | 「総合格闘技に挑戦したいです」(ただし「ONEとの契約はあと2戦」のあと) |
「やらない」と言っていたのが、負けた日に「絶対にやる」に変わり、1年2か月ほどあとに「分からない」へ戻り、さらに1年6か月ほどあとにもう一度「やりたい」になりました。今回の発言は、方向転換の宣言ではなく、2度目の宣言です。
そして1度目と2度目のあいだ、安保がMMAのリングに上がった回数は0です。
安保がMMAで戦った時間は、合計4分28秒です
唯一のMMA戦は、2023年12月31日の『RIZIN.45』。相手は久保優太で、1回4分28秒、リアネイキドチョークで一本負けでした。
起点は2023年12月31日、終点は2026年8月31日。この974日=2年8か月のあいだ、安保はRIZINとONEのリングに何度も上がっていますが、MMAルールは1度もありません。
| 日付 | 相手 | ルール |
|---|---|---|
| 2023年5月6日 | ブアカーオ・バンチャメーク | キックボクシング(引き分け) |
| 2023年9月24日 | 宇佐美正パトリック | キックボクシング(2度のダウンを奪って判定勝ち) |
| 2023年12月31日 | 久保優太 | MMA(1回4分28秒 一本負け) |
| 2024年7月28日 | マニー・パッキャオ | 特別ルール(判定なしのドロー) |
| 2024年12月31日 | シナ・カリミアン | 特別ルール(判定勝ち) |
| 2025年11月16日 | マラット・グレゴリアン | キックボクシング(0-3判定負け) |
2023年5月から2025年11月まで、安保がRIZINとONEのリングで戦ったのは6試合。判定勝ちもしています。そのうちMMAルールは1試合だけで、時間にして4分28秒です。10月17日のシュマロフ戦もキックボクシングなので、この数字は動きません。
安保を極めた久保優太も、キックから来た男でした
ここで、安保をリアネイキドチョークで極めた久保優太(38歳)を見ると、比べる物差しができます。
久保もキックボクサーでした。2013年にGLORYフェザー級SLAM世界トーナメント優勝、2017年に初代K-1 WORLD GPウェルター級王者。立ち技で頂点まで行った選手という点で、安保と同じ出身です。その久保が2021年8月にRIZINと契約し、MMAへ転向しました。
久保のMMAの最初の3戦は、こうです。
| 2021年9月19日 | 太田忍に0-3判定負け(MMAデビュー戦) |
|---|---|
| 2021年12月31日 | シバターに腕ひしぎ十字固めで一本負け |
| 2022年11月6日 | 奥田啓介にパウンドでTKO勝ち(MMA初勝利) |
いきなり2連敗しています。デビュー戦から初勝利まで413日かかりました。キックの王者がMMAで最初につまずくのは、めずらしいことではありません。そこは安保も同じです。
違うのはそのあとです。久保はその413日のあいだにリングへ3回上がり、そこから木下カラテ、安保、高橋遼伍、齋藤裕と勝ち続けて5連勝までいきました。負けながら試合数を積んだわけです。
安保は974日で0試合です。差が出ているのは才能でも適性でもなく、MMAのリングに上がった回数のところです。
ただし、2人の立場は同じではありません。久保はMMAへ完全に移って専念しました。安保はキックボクシングの契約を持ったまま、その合間にMMAを考えている——ここは分けて見るべきところです。だから「久保にできたから安保にもできる」という話にはなりません。並べて分かるのは、「専念したかどうか」で試合数がここまで変わるということです。
ONEでの安保は「1年で1試合」|その1試合は計量に失敗している
安保がONEへの参戦を発表したのは2025年9月11日の記者会見です。「ONEの王者になるので期待しててください」と話していました。
そこから10月17日までを数えると401日。その間にONEのリングで戦ったのは、1試合だけです。
| 2025年9月11日 | ONE参戦とグレゴリアン戦が発表される |
|---|---|
| 2025年11月16日 | 『ONE 173』(有明アリーナ)でグレゴリアンに0-3判定負け。この試合は前日計量で181gオーバーとなり、契約体重を変更して行われました |
| 2026年夏 | フェザー級からライト級へ上げて、8月の『ONE SAMURAI 2』での復帰が決まる(日刊スポーツ) |
| 2026年8月 | 練習中の負傷で欠場 |
| 2026年10月17日 | 『ONE SAMURAI 4』(有明アリーナ)でシュマロフ戦。ONE 173から335日ぶり |
デビュー戦で計量に失敗し、次の試合を負傷で落とし、復帰まで335日。「MMAをやる」の前に、キックの試合そのものが積み上がっていない——この表から読めるのはそこです。ケガは本人にどうにもできないことなので、責める話ではありません。ただ、予定と実際が離れているのは事実です。
10月17日の相手|シュマロフのONEでの3勝は、すべてKO
ボグダン・シュマロフ(29歳・ブルガリア/180cm)は、ONEでは3勝1敗でその3勝はすべてKOです(イーファイト)。通算戦績は18勝4敗と伝えられていますが、こちらは一次資料で確認できていません。前戦は2025年10月、マチェイ・カルピンスキーを1回でKOしています。ONEのチャトリ会長もKO決着に期待するとコメントしています(イーファイト)。
会見でシュマロフは安保に「もっと筋肉つけて。遊びじゃないんだから」と言い、安保は「本気になった安保瑠輝也の相手じゃない」と返しました(ゴング格闘技)。
安保にとっては、ライト級での初戦であり、ONEでの初勝利がかかった試合でもあります。
「あと2戦」を数えると、MMAはいつになるのか
ここからは、公表されている数字を並べただけの当サイトの計算です。
安保のONEでの実働ペースは、参戦発表からの401日で2試合(10月17日を含む)。ざっと1年に1試合です。本人の言う「契約はあと2戦」の1戦目が10月17日だとすると、残りはあと1戦。同じペースなら2027年の秋ごろまで契約が続く計算になります。そのとき安保は32歳になるころです(1995年10月29日生まれ)。
もちろん、これは今のペースが続いたらの話で、年に2〜3戦できれば話は変わります。ただ「契約満了後にMMA」という言い方は、MMAの1試合目を、早くても1年ほど先に置くということでもあります。
もうひとつ、ONEはMMAもキックボクシングもムエタイも同じ団体でやっています。ルールの受け皿は、その団体の中にあります。それでも安保が「契約が終わってから」と言うのは、キックボクシングとして結んだ契約をまず全うする、という意味なのかもしれません。ただし、これは本人が説明していないことなので、当サイトの推測にすぎません。
まとめ|見るべきは言葉ではなく、次に上がるリング
- 「MMAに挑戦したい」は2度目の宣言です。1度目は2023年12月31日、負けた直後のリングの上でした
- そこから974日。MMAの試合は0で、安保がMMAで戦った時間は合計4分28秒のままです
- 安保を極めた久保優太も、キックからMMAへ移った選手です。久保は2連敗しながら413日で3試合こなして初勝利にたどり着きました
- 10月17日の『ONE SAMURAI 4』もキックボクシング。ここで勝てば、ONE参戦から初めての勝利になります
「やります」と言った回数ではなく、MMAのグローブを着けてリングに上がった回数で見ると、安保のMMAは2年8か月前から1のままです。次に動くとしたら、それは会見ではなく試合発表のほうです。
選手のプロフィール
この記事に出てくる選手の戦績・経歴は、選手名鑑にまとめています。
- 安保瑠輝也
- 久保優太
- ボグダン・シュマロフ
関連記事
この記事の出典
- ENCOUNT「【ONE】安保瑠輝也、MMA再転向を明言「挑戦したい」 現行契約満了後に「キックは残り数戦」」(2026年8月31日)
- ゴング格闘技(2026年9月2日)=「ONEとの契約はあと2戦ある」「残り2戦のキックボクシング」
- 日本語版Wikipedia「安保瑠輝也」「久保優太」(2026年9月2日閲覧)=試合日・ルール・戦績・過去の発言
- ORICON NEWS/SPREAD=2023年12月31日『RIZIN.45』後の安保のコメント
- RIZIN公式サイト『RIZIN.45』第5試合 久保優太 vs 安保瑠輝也の試合結果=決着時間
- イーファイト/ゴング格闘技=『ONE SAMURAI 4』のカードとシュマロフの戦績、会見でのやりとり
- RIZIN公式サイト『RIZIN.44』第7試合 安保瑠輝也 vs 宇佐美正パトリック(2023年9月24日・キックボクシングルール)
- 日刊スポーツ(2026年8月6日)=『ONE SAMURAI 2』欠場と10月17日の復帰、チャトリCEOのコメント
- デイリースポーツ/中日スポーツ/スポーツ報知=比較のために参照した各選手の計量・会見の記録
※戦績・日付は2026年9月2日時点で確認できたものです。
この記事で使った出どころ
出どころのリンク
- ENCOUNT|【ONE】安保瑠輝也、MMA再転向を明言「挑戦したい」 現行契約満了後に「キックは残り数戦」(2026年8月31日の『ONE SAMURAI 3・4』メガプレスカンファレンスでの「総合格闘技に挑戦したいです」発言/「ONEとの契約はあと数戦」発言/安保の年齢30歳・所属MFL team CLUB es)
- RIZIN公式|【試合結果】にゃんこ大戦争 presents RIZIN.45 第5試合/久保優太 vs. 安保瑠輝也(RIZIN.45での久保優太の1R4分28秒リアネイキドチョーク一本勝ち)
- ORICON NEWS|【RIZIN速報】安保瑠輝也「悔しいんで絶対にMMAやります」どん底からの再起を誓う(RIZIN.45敗戦後の「悔しいんで絶対にMMAやります」発言)
- ゴング格闘技|【ONE】安保瑠輝也が計量&ハイドレーションテスト失敗で181g体重超過「詰みました」、グレゴリアンとキャッチウェイト戦の交渉で→試合成立(『ONE 173』(2025年11月16日・有明アリーナ)前日計量での安保の181g超過とキャッチウェイトでの試合成立)
- ORICON NEWS|【ONE SAMURAI 2】安保瑠輝也、10・17『ONE SAMURAI 4』で復帰 チャトリCEOが明言(『ONE SAMURAI 2』欠場と10月17日『ONE SAMURAI 4』でのボグダン・シュマロフ戦での復帰)
- ゴング格闘技|【ONE】安保瑠輝也にシュマロフ「もっと筋肉つけて。遊びじゃないんだから」、安保は「本気になった安保瑠輝也の相手じゃない」当初の目標だった野杁正明戦は――(会見でのシュマロフ「もっと筋肉つけて。遊びじゃないんだから」と安保「本気になった安保瑠輝也の相手じゃない」のやりとり/『ONE SAMURAI 4』10月17日・有明アリーナ・ライト級キックボクシング)
- イーファイト|【ONE】安保瑠輝也に強豪シュマロフ「もっと筋肉付けて」と辛口挑発!KO決着も宣言(シュマロフのONEでの3勝がすべてKO/前戦2025年10月のマチェイ・カルピンスキーへの1回KO勝ち/安保のONEデビュー戦グレゴリアンへの判定負け)
- Wikipedia(日本語版)|久保優太(久保優太のMMA最初の3戦(太田忍に0-3判定負け・シバターに腕ひしぎ十字固めで一本負け・奥田啓介にパウンドでTKO勝ち)/木下カラテ・安保・高橋遼伍・齋藤裕に勝っての5連勝/2013年GLORYフェザー級SLAM世界トーナメント優勝と2017年初代K-1 WORLD GPウェルター級王座)
リンクは2026年9月29日に確認したものです。リンク先の内容はその時点のものです。
この記事に出てくる選手
- ボグダン・シュマロフ ライト級/ONEでは3勝1敗で、3勝はすべてKO。10月17日に安保と対戦
- 安保瑠輝也 ライト級/元K-1スーパーライト級王者。10月17日にシュマロフ戦。契約満了後は「MMAに挑戦したい」と発言
- 久保優太 フェザー級/初代K-1 WORLD GPウェルター級王者からMMAへ転向。2023年大晦日に安保瑠輝也へ一本勝ち