IBF世界フライ級王者の矢吹正道(緑ジム)の次の試合が決まりました。2026年11月26日(木)、東京のEBARA WAVEアリーナおおた(大田区総合体育館)で、同級1位のミエル・ファハルド(フィリピン)を相手に3度目の防衛戦を行います。

ファハルドは、IBFが「次はこの選手と戦いなさい」と決めた指名挑戦者です。矢吹本人も「危ない試合になると思う」と話しています(デイリースポーツ)。

2人の戦績を並べると、はっきりした形が見えてきます。ファハルドは1回で7度も相手を倒してきた「速攻型」。一方の矢吹は、世界戦で勝った5試合が、すべて9回以降に決着しています(9回以降のKO・TKOが4つ、12回判定が1つ)。この記事では、ファハルドの「序盤の決定力」と矢吹の「世界戦での終盤の実績」の対照を軸に、どちらが勝ちそうかを予想します。

先に結論|当サイトの予想

先に結論を書きます。理由は、このあと数字と過去の試合で説明します。

  • 本線=矢吹の9回以降のKO・TKO勝ち。前半はファハルドの強打をしのぎ、後半に手数と強いパンチで止める形
  • 対抗=ファハルドの前半(1〜4回)のKO・TKO勝ち。矢吹が過去に早い回で止められた2試合と同じ形
  • 自信の度合い=中くらい。経験と後半の強さは矢吹が上。ただ、ファハルドの序盤の怖さは、数字の上でははっきりしています

1. 試合の日時・会場・配信

まずは基本の情報です。11月26日は、世界タイトルマッチが2つある「ダブル世界戦」で、矢吹の試合がメイン(最後の試合)です。

項目 中身
日にち 2026年11月26日(木)
会場 EBARA WAVEアリーナおおた(東京都大田区・大田区総合体育館)
試合 IBF世界フライ級タイトルマッチ 12回戦
王者・矢吹正道 vs 同級1位・ミエル・ファハルド
大会の名前 NTTドコモ presents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ
配信 Lemino(レミノ)が独占で生配信。15時30分から(「Leminoプレミアム」への登録が必要)
同じ日の主な試合 WBA世界ミニマム級 石井武志の初防衛戦/武居由樹 vs 大嶋剣心/弟の力石政法 vs メルチョール・ロダ

※2026年9月29日の発表を伝えた新聞各紙と、Lemino公式の発表で確認しました。矢吹の試合が何時に始まるかは、まだ発表されていません。

矢吹と力石は兄弟です。兄弟が同じ日のリングに上がるのは2017年11月以来、9年ぶり。力石は「サクッと倒して勝って、きれいな顔で兄のサポートをできたら」と話しています(デイリースポーツ)。同じ日の全7試合の順番は、武居由樹の次戦の記事にまとめています。

2. 2人をくらべる

年齢は矢吹が8つ上。戦績の数は近いものの、中身はかなり違います。特に「世界戦の経験」と「12回戦の経験」に大きな差があります。

項目 矢吹正道 ミエル・ファハルド
国・出身 日本(三重県鈴鹿市) フィリピン(アグサン・デル・スル州)
年齢 34歳 26歳
身長/リーチ 166cm/164cm 163cm/165cm
構え 右構え(オーソドックス) 右構え(オーソドックス)
プロ戦績 24戦20勝(18KO)4敗 19戦14勝(12KO)3敗2分け
KOで勝った割合 勝ちの90% 勝ちの86%
いちばん上の実績 世界2階級制覇(WBC・IBFライトフライ級、IBFフライ級) OPBF東洋太平洋ライトフライ級王者(防衛0)
世界戦の経験 6戦5勝1敗 今回が初めて
前の試合 2026年6月 レネ・カリストに12回判定勝ち 2026年4月 トビアス・レジェスに1回1分5秒TKO勝ち

※戦績は日本語版・英語版Wikipediaと報道を突き合わせました(2026年10月2日時点)。ファハルドの年齢はTHE ANSWERと英語版Wikipedia(2000年1月1日生まれ)にそろえています。スポーツニッポンは「22歳」と書いていますが、2016年にプロデビューしていることから、当サイトは26歳を採りました。

ファハルドは、4月にアルゼンチンで行われた「挑戦者を決める試合」で、地元の選手を65秒のあいだに4回倒して勝ち、挑戦権を取りました。

3. 前半のファハルド|1回KOが7回

ファハルドのいちばんの武器は、試合が始まってすぐの強打です。KOで勝った12試合のうち、7試合が1回で終わっています。

1回で終わった試合の一覧

日にち 相手 終わった時間
2026年4月11日 トビアス・レジェス(アルゼンチン) 1回1分5秒
2025年8月24日 ミラー・アラポルミナ 1回22秒
2023年8月15日 ジョン・ポール・ガブニラス 1回1分0秒
2022年12月28日 サラウット・ジアムトン(タイ) 1回10秒
2022年7月30日 リチャード・クラベラス 1回41秒
2019年 ルー・ゾウ(中国) 1回1分6秒
2018年10月27日 マーティン・コルドバ 1回2分32秒

※英語版Wikipediaの戦績表より。2022年12月のジアムトン戦は「10秒」とされ、フィリピンの新聞は「7秒」とも報じました。ルー・ゾウ戦は資料によって1月と6月に分かれるため、年だけを書いています。

KO・TKO負けは一度もない

もうひとつの特徴は、打たれ強さです。ファハルドの3つの負けは3つとも判定で、プロ19戦でKOやTKOで止められたことは一度もありません。

矢吹が早い回に負けた2試合

ここが、この試合でいちばん気になるところです。矢吹の4つの負けのうち2つは、早い回のKO・TKO負けです。2018年4月にユーリ阿久井政悟に1回1分32秒、2022年3月に寺地拳四朗に3回1分11秒で止められています。もちろん、どちらも何年も前の試合で、いまの矢吹は当時とは違います。それでも、4月の挑戦者決定戦で最初の1分ほどのあいだに4回倒したファハルドの強打は、立ち上がりに打ち合いになったときに矢吹を止められる武器です。

4. 後半の矢吹|世界戦の勝ちは全部9回以降

反対に、矢吹は世界戦の終盤で結果を出してきた選手です。世界タイトルマッチで勝った5試合を並べると、それがよく分かります。

世界戦で勝った5試合

日にち 相手 結果
2026年6月6日 レネ・カリスト(メキシコ) 12回判定勝ち(1回に2度ダウンを奪う)
2025年12月27日 フェリックス・アルバラード(ニカラグア) 12回1分59秒KO勝ち
2025年3月29日 アンヘル・アヤラ(メキシコ) 12回1分54秒TKO勝ち(IBF世界フライ級王座を獲得)
2024年10月12日 シベナティ・ノンティンガ(南アフリカ) 9回1分50秒TKO勝ち
2021年9月22日 寺地拳四朗 10回2分59秒TKO勝ち

5試合のうち3試合は、最後の12回まで行っています。アヤラ戦はIBFの2025年の「年間最高試合」に選ばれました。

12回を戦い切って勝ったことがないファハルド

12回戦は、3分のラウンドを12回、合わせて36分戦う長い試合です。ファハルドは、12回を最後まで戦った試合が2回あり、2回とも判定で負けています(2024年のシムシー戦とムチャンジャ・ヨハナ戦)。12回戦として組まれた試合でも、勝ったときは1回で終わっています。いちばん長く戦って勝った試合は、2025年10月の10回判定勝ちです。

同じ相手で比べる|タノンサック・シムシー

2人には共通の相手がいます。いまIBF世界ライトフライ級王者のタノンサック・シムシー(タイ)です。

選手 シムシーとの試合
矢吹正道 2022年9月10日(三重・四日市)7回1分19秒TKO勝ち
ファハルド 2024年4月13日(大阪・エディオンアリーナ)12回判定負け。10回にダウンを奪うも届かず、OPBF王座を失う

シムシーはプロ42戦で負けが1つだけ。その1敗をつけたのが矢吹です。同じ相手に「倒して勝った矢吹」と「判定で負けたファハルド」。ただ、試合の時期も条件も違います。「AがBに勝ち、BがCに勝ったから、AはCより強い」とは言えないのがボクシングです。ファハルドが10回にもダウンを奪えるだけの力を残していたことも、見逃せません。共通の相手には矢吹のほうがはっきりした結果を残した、という参考材料にとどめます。

5. 予想の理由と、ひっくり返る条件

ここまでの材料をまとめると、試合が長くなるほど矢吹が有利、早く動くほどファハルドが有利、という形になります。

矢吹を本線にした理由

  • 世界戦の経験=矢吹は6戦、ファハルドは初めて
  • 12回まで戦った試合=矢吹は世界戦で3戦3勝、ファハルドは2戦2敗
  • 共通の相手=シムシーを矢吹は7回で止め、ファハルドは判定で負けた(参考材料)

ファハルドが勝つ形

  • 1〜4回で強打を当てて、そのまま止める
  • 矢吹が過去2回止められた「早い回」の勝負に持ちこむ
  • KOできなくても接戦に持ちこめば、採点の勝負になる可能性は残る

矢吹の年齢と体重

不安な点もあります。矢吹は試合の日に34歳。それまで世界戦の4勝はすべてKO・TKOでしたが、前のカリスト戦で初めて、世界戦の勝ちが判定になりました。体重をフライ級まで落とすのも苦しくなっていて、この試合のあとはスーパーフライ級に上げることも考えていると報じられています(デイリースポーツ)。

6. 「最後の防衛戦」の先にあるもの

この試合は、矢吹にとってIBFフライ級で最後の防衛戦になる見込みです(スポーツニッポン)。勝ったあとの道は、大きく2つあると報じられています。

  • ほかの団体の王者とベルトをまとめる「統一戦」
  • 1つ上のスーパーフライ級で、3階級目の世界王座を狙う

矢吹は「しっかり勝って、次の大きなステップに行けるような内容にしたい」と話しています(産経新聞)。フライ級のほかの王者は、ボクシング世界王者一覧で確かめられます。勝てば統一戦や3階級制覇という次の選択肢につながる、大事な一戦です。

よくある質問

この試合について、気になりそうなことをまとめました。

試合はいつ、どこですか

2026年11月26日(木)、東京都大田区のEBARA WAVEアリーナおおた(大田区総合体育館)です。

どこで見られますか

Leminoが独占で生配信します。配信は15時30分からの予定です。見るには「Leminoプレミアム」への登録が必要です。料金は武居由樹の次戦の記事にまとめています。

矢吹の試合は何時ごろ始まりますか

まだ発表されていません(2026年10月2日時点)。矢吹の試合は全7試合の最後なので、配信が始まってから数時間あとになるとみられます。

ファハルドはどんな選手ですか

フィリピンの26歳で、19戦14勝(12KO)3敗2分け。愛称は「サイレント・アサシン(静かな暗殺者)」です。元OPBF東洋太平洋ライトフライ級王者で、IBFフライ級1位。世界戦は今回が初めてです。

矢吹とファハルドは戦ったことがありますか

ありません。今回が初めての対戦です。

矢吹と力石政法はどういう関係ですか

兄弟です。リングネームはどちらもマンガ『あしたのジョー』から取っていて、兄が主人公の「矢吹」、弟がライバルの「力石」です。

まとめ

  • 11月26日、矢吹正道が東京でファハルドと3度目の防衛戦。Leminoが独占で生配信
  • ファハルドはKO勝ち12のうち7つが1回。KO・TKO負けは一度もない
  • 矢吹は世界戦の勝ち5つがすべて9回以降に決着。12回を戦い切った経験で大きく上回る
  • 当サイトの本線は矢吹の後半のKO・TKO勝ち。前半を乗り切れるかがカギ

試合を見るなら、1〜4回は矢吹がファハルドの強打をどうかわすかに、9回以降は矢吹がどこで勝負に出るかに注目すると、試合の流れがよく分かります。計量や試合順が発表されたら、この記事に書き足します。

▶ 矢吹の全戦績とプロフィールは 矢吹正道の選手ページ
▶ 同じ日の試合は 武居由樹の次戦は11月26日、大嶋剣心と8回戦
▶ ほかの試合の予定は 試合予定/配信先は どこで見られる?

この記事で使った出どころ

  • 試合の決定:デイリースポーツ(2026年9月29日・30日)/産経新聞・スポーツニッポン・THE ANSWER(Yahoo!ニュース、2026年9月29〜30日)
  • 配信:Lemino公式の発表(PR TIMES)
  • 矢吹の全戦績:日本語版Wikipedia「矢吹正道」
  • ファハルドの全戦績:英語版Wikipedia「Miel Fajardo」
  • ファハルドの陣営とKOの数:Daily Tribune(フィリピン、2026年9月8日)

情報は2026年10月2日時点のものです。予想は当サイトの見方で、結果を約束するものではありません。誤りを見つけられた場合は、ご指摘いただけると助かります。