【深掘り】ダウトベックが止めた16回のうち、15回は1ラウンドだった|平本蓮の相手
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2026年9月10日(木)、京セラドーム大阪で行われる「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」。その第6試合で、平本蓮がカルシャガ・ダウトベック(カザフスタン/23戦19勝3敗1無効)と戦います。RIZIN MMAルール、5分3R、66.0kg契約です。
平本にとっては774日ぶりのMMA。日本の報道は、どうしてもこの「774日」の話になります。
この記事は、相手のダウトベックだけを掘る記事です。試合の中身を決めるのは、待っていた側ではなく、待ち構えている側だからです。
先に結論を書きます。ダウトベックの勝ち方は、異常なほど1ラウンドに偏っています。そして2015年9月を最後に、1ラウンドを越えてから相手を倒した試合が1つもありません。
30秒でわかる カルシャガ・ダウトベック
| 名前 | カルシャガ・ダウトベック(Karshyga Dautbek)/通称「キング・オブ・カザフスタン」 |
|---|---|
| 生年月日 | 1993年12月7日(32歳) |
| 国籍・出身 | カザフスタン・シムケント |
| 体格 | 170cm/リーチ170cm |
| 戦績 | 23戦19勝3敗1無効(19勝のうち16勝はKO・TKO・一本勝ち。判定まで行った勝ちは3つだけ) |
| バックボーン | ボクシング(2009年開始、2年で全国優勝)とシラット。2016年にはマレーシアのシラット世界大会を1日3試合すべてKOで優勝 |
| 直近の試合 | 2026年7月18日 萩原京平に1ラウンド4分8秒TKO勝ち(RIZIN LANDMARK 15)。9月10日は54日ぶり |
| 最後の黒星 | 2019年3月9日。9月10日で2,742日負けていません |
| ここが一番の特徴 | 2ラウンド以降に相手を倒したのは、2015年9月12日の1回だけ(4,016日前) |
1. 止めた16回のうち、15回が1ラウンドです
ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。
ダウトベックの19勝を、1試合ずつ並べ直しました。判定まで行った勝ちは3つだけ。残りの16勝は、KO・TKO・一本勝ちで終わっています。
そして、その16回のうち15回が1ラウンドでした。
下が、その16回の全部です(いちばん下の1行だけが2ラウンド以降)。
| 試合日 | 相手 | 決着 |
|---|---|---|
| 2026年7月18日 | 萩原京平 | 1R 4:08 TKO |
| 2024年9月29日 | 木下カラテ | 1R 1:48 KO |
| 2024年6月9日 | 関鉄矢 | 1R 3:11 KO |
| 2024年1月21日 | 松嶋こよみ | 1R 4:41 TKO |
| 2023年9月9日 | ディエゴ・ブランダオン | 1R 0:36 TKO |
| 2023年5月7日 | アリ・ユセフ | 1R 3:20 KO |
| 2023年1月29日 | ギリェルモ・ネレス | 1R 3:39 KO |
| 2021年9月24日 | ヴォロージャ・アイワジアン | 1R 2:45 KO |
| 2018年8月4日 | イワン・ラッツ | 1R 1:20 TKO |
| 2017年9月9日 | イモマリ・ホルボーイ | 1R 0:56 KO |
| 2016年5月10日 | ヴァリッシャー・ラクモノフ | 1R 0:32 KO |
| 2015年11月14日 | シンギス・クアニシュベク | 1R 0:14 KO |
| 2015年5月9日 | ファリディンベク・ザイニディノフ | 1R 3:19 KO |
| 2015年4月19日 | エルナト・セリカノフ | 1R 1:55 チョーク(唯一の一本勝ち) |
| 2015年3月13日 | シーミク・カパー | 1R 2:21 TKO |
| 2015年9月12日 | マクスッド・アミノフ | 3R 2:14 KO(2ラウンド以降はこの1回だけ) |
いちばん下の1行だけが、2ラウンド以降の決着です。2015年9月12日。9月10日の時点で4,016日前になります。
言いかえると、こうなります。2015年9月を最後に、1ラウンドを越えてから相手を倒した試合が1つもありません。
ただし、これは「1ラウンドを越えれば安全」という意味ではありません。そのあとも判定で2つ勝っています(後述)。時間が延びると倒せなくなるだけで、負けるわけではない、ということです。
1ラウンドで終わらせた15試合の決着タイムは、0分14秒から4分41秒までばらけています。平均すると2分19秒ですが、これは「次も2分19秒くらいで終わる」という意味ではありません。言えるのは、この選手が試合を終わらせてきた場所が、ほぼ1ラウンドの中に集まっている、ということだけです。
2. 日本での8試合は、きれいに2つに割れています
ダウトベックが日本のリングに上がるのは、9月10日で9度目です。過去8試合を並べると、上の話がそのまま出ています。
| 試合日 | 大会 | 相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2018年9月30日 | RIZIN.13 | 朝倉未来 | ● 判定0-3(3R) |
| 2024年1月21日 | TOP BRIGHTS.1 | 松嶋こよみ | ○ 1R 4:41 TKO |
| 2024年6月9日 | RIZIN.47 | 関鉄矢 | ○ 1R 3:11 KO |
| 2024年9月29日 | RIZIN.48 | 木下カラテ | ○ 1R 1:48 KO |
| 2024年12月31日 | RIZIN.49 | YA-MAN | ○ 判定3-0(3R) |
| 2025年3月30日 | RIZIN.50 | 鈴木千裕 | ○ 判定2-1(3R) |
| 2025年12月31日 | RIZIN 師走の超強者祭り | 久保優太 | - 1R 3:15 ノーコンテスト(アイポーク=指が目に入る事故。わざとではないので勝敗はつきません) |
| 2026年7月18日 | RIZIN LANDMARK 15 | 萩原京平 | ○ 1R 4:08 TKO |
1ラウンドで終わった5試合は、4つが止めた勝ち、1つが事故(アイポーク)です。
そして1ラウンドを越えた3試合は、3つとも判定まで行きました。2勝1敗ですが、日本で2ラウンド以降に相手を倒したことは一度もありません。
YA-MAN戦は3-0、鈴木千裕戦は2-1。どちらも勝っています。ただし鈴木戦は、3ラウンド終盤に相手からテイクダウン(組んで倒すこと)を奪い返されての2-1でした。時間が延びると、この選手は「倒す側」から「逃げ切る側」に変わります。
3. 3つの黒星は、どれも「ふつうの負け」ではありません
19勝3敗の「3敗」の中身も見ておきます。
- 2015年5月9日 ティレク・バトゥイロフに2R 1:22 TKO負け。この日は1日に2試合を行う大会で、ダウトベックは同じ日の1試合目に1ラウンドKO勝ちをしたあとの2試合目でした。プロ2か月目です。
- 2018年9月30日 朝倉未来に判定0-3。これが唯一、まともな条件で、しかも判定まで戦って負けた試合です。
- 2019年3月9日 イゴーリ・ジルコフに3R 0:55 TKO負け。練習中の負傷で鎖骨が折れたまま出場し、眉尻をカットした出血でドクターストップになりました。
つまり、「万全の状態で、殴られて倒された」試合が1つもありません。そして2019年3月9日を最後に、2,742日負けていません(間に無効試合が1つ入ります)。
4. 8年前、日本での初戦の相手が朝倉未来でした
ここが今回いちばん不思議なところです。
ダウトベックの日本デビュー戦の相手は、朝倉未来でした。2018年9月30日のRIZIN.13。8勝1敗でRIZINと契約した25歳のカザフ人が、判定0-3で完敗しています。9月10日で2,902日前です。
そして9月10日、そのリングにはこうなります。
| 試合順 | カード | ダウトベックとの関係 |
|---|---|---|
| 第7試合 | 朝倉未来 vs 青木真也 | 2018年に自分が負けた相手 |
| 第6試合 | ダウトベック vs 平本蓮 | その朝倉未来を1ラウンドで倒した男 |
| 第4試合 | 斎藤裕 vs YA-MAN | 2024年大晦日に判定で下した相手 |
ダウトベックが日本で戦ってきた相手のうち2人が、同じ日の同じリングに立ちます。そして自分の前にいるのは、その2人のうち片方(朝倉未来)を1ラウンド2分18秒で倒した選手です。
なお、メインのラジャブアリ・シェイドゥラエフも、2025年12月31日に朝倉未来を1ラウンドで倒しています。この日のリングは、朝倉未来を軸に人が集まっている大会でもあります。
5. 迎え撃たれる側の774日
相手の話だけでは片手落ちなので、平本蓮の空白にも触れておきます。
- 最後のMMAは2024年7月28日の超RIZIN.3。朝倉未来に1ラウンド2分18秒TKO勝ち。9月10日で774日です。
- その後、練習中に右肩外傷性肩関節不安定症(全治6か月)の大ケガ。
- 2026年5月10日のRIZIN.53で皇治とボクシングに近い立ち技のルールで3ラウンドを戦い、勝敗はつきませんでした。651日ぶりにリングには戻りましたが、MMAではありません。
- 8月29日の合同公開練習を欠席しています。理由は本人がXで説明したとおり「試合前最後の肩の検査」でした。
ここから「肩が万全ではない」と決めつけることはできません。検査に行ったというだけで、結果は公表されていないからです。
ただ、はっきりしていることが1つあります。長く空けた選手がいちばんあぶないのは、体が試合を思い出す前の時間帯です。そこは、ダウトベックがずっと結果を出してきた時間帯と、そのまま重なります。
この試合の見どころを3つに絞ると
- 最初の5分。ダウトベックがKO・TKO・一本で終わらせた16回のうち、15回は1ラウンドでした。まずここが山になります。
- 越えたあとは景色が変わります。2015年9月を最後に、1ラウンドを越えてから相手を倒した試合がありません。日本での8試合にかぎれば1度もありません。ただし判定では勝っているので、「越えたら平本が勝つ」という話ではありません。
- 左。KO勝ちの決まり手は左ストレート・左フック・左ボディブローに偏っています(萩原=左フック、木下=左ストレート、関=左ボディブロー、松嶋=左ストレート)。ボクシング出身で、当てているのはほぼ左です。
結果は超RIZIN.5の結果ページに、試合が終わりしだい書き入れます。
この記事で使った出どころ
- 戦績は、日本語版Wikipediaの試合一覧と、MMA選手名鑑(Mニュース)の試合一覧を1試合ずつ突き合わせ、日付・決まり手・ラウンド・タイムがすべて一致したものだけを載せています
- 試合結果と対戦カードは、RIZIN公式サイトの試合結果ページで確認しました
- 日数(2,742日・4,016日・2,902日・774日・54日)は、いずれも2026年9月10日を基準に計算したものです
- 注記①:Wikipediaの戦績まとめ欄は「KO・TKO 14/判定4」となっていますが、同じページの試合一覧を1試合ずつ数えると「KO・TKO 15/一本1/判定3」になります。当サイトは、1試合ずつの記録が2つの出どころで一致した後者を採用しました
- 注記②:MMAの戦績は、どの試合を公式戦として数えるかが出どころによって違うことがあります(海外のデータベースには18勝と数えているものもあります)。この記事は19勝3敗1無効を基準にしています
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この記事に出てくる選手
- カルシャガ・ダウトベック フェザー級/23戦19勝3敗1無効/9月10日 第6試合
- 平本 蓮 フェザー級/774日ぶりのMMA/9月10日 第6試合
- 朝倉 未来 2018年にダウトベックに判定勝ち/9月10日 第7試合
- YA-MAN 2024年大晦日にダウトベックと判定/9月10日 第4試合
- ラジャブアリ・シェイドゥラエフ RIZINフェザー級王者/9月10日 メイン