2026年9月1日(火)、朝倉海が自分のYouTubeで、右手の親指を骨折していたことを明かしました。包帯をぐるぐるに巻いた右手を映しながらの報告です。

折れたのは練習中ではありません。8月29日、中国・上海でアオリ・チロンに2ラウンド34秒でKO勝ちした、あの試合の中です。

しかも本人は、1ラウンドが終わった時点で「絶対折れてるな」と分かっていた、と話しています。それでも2ラウンドに出ていき、その右でダウンを奪って勝ちました。

この記事では、その34秒に何が起きていたのかと、本人が言う「1か月あれば治る」をどう読めばいいのかを見ていきます。

まず、わかっていること

公表 2026年9月1日(火) 本人のYouTubeチャンネル
ケガ 右手親指の骨折(2か所)
いつ 8月29日 UFC上海、アオリ・チロン戦の1ラウンド後半
本人の説明 骨がずれるような折れ方ではなく「ヒビに近い」。「1か月あれば治る」
その試合 2R 0分34秒 KO勝ち。バンタム級に戻してから2連勝

折れたのは1ラウンドの後半だった

本人の説明はこうです。1ラウンドの後半、連打からアッパーを打ったときに、親指が相手の顔か肘に当たって引っかかった。

そしてラウンドが終わってイスに座ったとき、「絶対折れてるな」と確信していたと話しています。

当日の現地レポートを見ると、1ラウンドの終盤に、朝倉のパンチの連打で指が相手の右目に入り、試合が一度止まった場面があります。時間帯としては本人の説明と重なります。

ただし、この中断が骨折した瞬間と同じかどうかは、確認できていません。本人も「あの場面だった」とは言っていないので、当サイトでも結びつけずに置いておきます。

「絶対折れてる」と分かったうえで、その右でダウンを奪っている

ここがこの試合のいちばん奇妙なところです。

朝倉は2ラウンドが始まってすぐ、左のハイキックを相手の側頭部に当てました。相手がぐらついて下がる。ここまでは左です。

問題はそのあとです。朝倉は前に出て、右のアッパーとフックを続けて当ててダウンを奪っています。そのあと膝と左の連打で終わらせました。時計は2R 0分34秒。

つまり「折れている」と分かっている右手で、いちばん強く殴りにいっているということです。かばってもいないし、左だけで勝ったわけでもありません。

本人の言葉と合わせると、なぜそうしたかが見えてきます。

「すぐ終わらせたいと思っていた」「殴り続けていたら、もっとひどくなっていた」。

右をかばって長引かせるほうが、右にとっては危ない。だから右が壊れているからこそ、右で早く終わらせにいった——そういう34秒だったことになります。

試合そのものの中身は、こちらの記事にまとめています。

【8月29日】朝倉海が2ラウンド34秒でKO勝ち|UFCの4戦は「負けは2つとも一本、勝ちは2つともKO」できれいに割れた

「1か月あれば治る」を、そのまま受け取ってよいか

本人は軽く話しています。骨がずれてはいない、ヒビに近い、1か月あれば治る、と。

ただ、朝倉が右手を壊すのは、これが初めてではありません。そして前回は、けっこうな長期戦になりました。

2021年12月31日 RIZIN.33のバンタム級グランプリ決勝で扇久保博正に判定負け。この試合で右拳を痛める
その後 本人いわく「注射や麻酔で痛みを抑えながら練習を続けていた」
2022年6月30日 試合2日前に欠場を発表。右手の人差し指の付け根の骨が、一度折れたあと変な形でくっつきかけ、最後までくっつかなかった状態だった
2022年7月8日 手術。本人が「かなり難しい手術だった」と報告
2023年5月6日 RIZIN.42で元谷友貴にKO勝ち。ここでようやく復帰

結果として、大晦日の試合から次の試合まで、1年4か月が空きました。手術の日から数えても、復帰まで約10か月です。

ここは正直に書きます。今回の親指と、あのときの人差し指の付け根では、折れた場所も折れ方もまったく違います。「前は10か月かかったから今回も長い」とは言えません。

それでも一つだけ言えることがあります。朝倉の右手には、「痛みを抑えながら使い続けて、結局は手術になった」という前の例があるということです。1か月という言葉がどうだったかは、10月になれば分かります。

グローブの話は、まだ「本人がそう言っている」段階

本人はもう一つ、気になることを言っています。

「UFCのグローブはRIZINと違って親指がむき出しなので、痛めやすい」。

ここは調べてみました。UFCは2024年6月1日のUFC 302から、グローブを新しいものに変えています。見た目だけの変更ではなく、手のケガと「目つき」(指が相手の目に入る事故)を減らすことが目的だと説明されています。

公表されている主な変更点は、こんなところです。

  • 指の付け根の締めつけをなくし、手を自然に握れるようにした(指が伸びたまま相手の目に入るのを減らすため)
  • 縫い目を手のひら側に寄せて、切り傷を減らす
  • 人差し指と小指のあたりに、骨を守るパッドを足した

この中に、親指を守るための変更は挙がっていません。

ただし、ここから先には進めません。「公表された変更点に親指が入っていない」ことと、「だから親指が折れた」ことは別の話だからです。グローブ全体の形が親指にどう影響するかまでは分かりませんし、比べる相手であるRIZINのグローブの作りについても、公表されている資料は見つけられませんでした。

なので今の段階では、本人がそう感じている、というところまでにしておきます。

次はどうなるか

試合後、朝倉は「ビッグファイトを組んでほしい」と言っていました。9月3日の時点で、次の試合の発表はまだありません。

本人の言う1か月がその通りなら、10月の頭には治っている計算です。ただし「骨がくっつく」と「思い切り殴れるまで戻る」は別の話で、格闘技の手のケガはここが長引きます。前回がまさにそうでした。

バンタム級に階級を戻してから2連勝、2つとも倒しての勝ちです。本人が望むとおりに上位との試合が組まれるなら、その前に右手をどこまで戻せるか。しばらくは「次の相手」より「右手」のほうが先の話題になりそうです。

選手のプロフィール

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この記事に出てくる選手

  • アオリ・チロン バンタム級/元武林風(WLF)バンタム級王者・8/29に朝倉海と対戦
  • 朝倉 海 バンタム級/元RIZINバンタム級王者

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