2026年9月は、UFCのベルトが大きく動いた1か月でした。ヘビー級王者のトム・アスピナルと、女子フライ級王者のヴァレンティナ・シェフチェンコが、どちらもけがで王座を手放しました。ヘビー級は暫定王者だったシリル・ガンが正規王者に繰り上がり、女子フライ級は空位になりました。

この記事では、9月1日〜30日に起きたUFCの王座の動きを、起きた順にまとめます。最後に、10月に入ってからの続きと、これからの王座戦の予定も並べます。

30秒でわかる 2026年9月のUFC王座の動き

No. 日付 階級 何が起きたか
1 9月5日(現地) 女子フライ級 王者シェフチェンコがけがで長く休むため王座を返上し、空位に
2 9月14日 ヘビー級 王者アスピナルが、目のけがが治らないため王座を返上
3 9月19日(現地) ヘビー級 暫定王者シリル・ガンが正規王者に繰り上げ。初防衛戦も決定
4 9月20日 フライ級 王者ジョシュア・ヴァンがパントージャに判定勝ちし、2度目の防衛

※日付は日本時間です。現地の日付で書いたものには「現地」とつけています。9月のUFCの大会は4つ(日本時間で9月6日パリ、13日アリゾナ、20日ロサンゼルスのUFC 331、27日ラスベガス)で、ベルトがかかった試合はUFC 331の1試合だけでした。

1. 女子フライ級:シェフチェンコがけがで王座を返上(9月5日・現地に発表)

9月5日(現地)、フランス・パリで行われたUFCの大会の中継の中で、10月のUFC 332の対戦カードが発表されました。そのとき一緒に伝えられたのが、ヴァレンティナ・シェフチェンコのけがです。

シェフチェンコはけがで最大1年ほど試合ができないと報じられ、女子フライ級のベルトは空位(誰も持っていない状態)になりました。けがは肩と背中と報じられています。

発表の直後は「本人が自分から返上したのか、UFCがベルトを外したのか」がはっきりせず、米国のMMA媒体ケージサイド・プレスも「はっきりしない」と書いていました。その後、UFC公式サイトの記事(9月29日)は「シェフチェンコがけがのため王座を返上」と書いています。この記事もUFC公式に合わせて「返上」と書いています。

空いたベルトは、UFC公式ランキング(記者の投票で決める表)で1位のナタリア・シウバと、8位のワン・ツォンがUFC 332で争うことになりました(結果は下の「10月に入ってからの続き」)。

2. ヘビー級:アスピナルが目のけがで王座を返上(9月14日)

9月14日、ヘビー級王者のトム・アスピナル(イギリス)が、自分のSNSで王座の返上を発表しました。

きっかけは、2025年10月のUFC 321です。シリル・ガンとの防衛戦の1ラウンド4分35秒、ガンの指がアスピナルの両目に入り(わざとではない反則の「目つぶし」)、アスピナルは続けられなくなりました。どちらの勝ちにもならない「無効試合」です。

その後アスピナルは両目の手術を何度も受け、感染症にもなりました。それでも次の試合の日取りが決まり、スパーリング(実戦形式の練習)にも戻っていたところで、練習中の事故で右目をまた痛めてしまったと声明で明かしています。

医師から試合に出る許可が下りず、戻れる時期も見えない。そこで「ヘビー級の流れを止めたくない。ほかの選手にベルトを争う機会をあげたい」として、自分からベルトを手放すことを選びました。

引退ではありません。本人は声明で「まだ終わっていない」と話していて、治ったら戻るつもりです。ただし、復帰の時期は決まっていません(10月5日時点)。

アスピナルは2025年6月に暫定王者から正規王者に繰り上げられましたが、その後の試合はこのガン戦の1試合だけ。正規王者としての防衛は0回のまま、ベルトを手放すことになりました。

3. ヘビー級:ガンが正規王者に繰り上げ(9月19日・現地)

アスピナルが返上したことで、ヘビー級にはもう1人の王者が残りました。2026年6月14日(現地)、ホワイトハウスで開かれた大会「UFC Freedom 250」でアレックス・ペレイラに2ラウンド1分27秒でTKO勝ちし、暫定王者になっていたシリル・ガン(フランス)です。

※暫定王者とは、正規の王者がけがなどで長く戦えないときに、代わりに立てられる王者のことです。

この扱いをめぐっては、少し混乱がありました。

  • 9月18日ごろ、UFCのダナ・ホワイト代表は「ガンは正規王者には上げない。ベルトをかけて戦う必要がある」と話したと報じられました。
  • ところが9月19日(現地)、UFC 331の大会に合わせて、UFCはガンを正規王者とし、初防衛戦を発表しました(米ESPNが報道。UFC公式サイトのニュースも「正規王者になった」と書いています)。
  • ホワイト代表もUFC 331の試合後の会見で、前の発言は自分の間違いだったと認めたと報じられています。

いまはUFC公式のランキング(9月29日更新)でも、ガンはヘビー級の「チャンピオン」として載っています。ガンが正規のベルトを持つのは初めてです。暫定王者には2021年と2026年の2回なりましたが、正規の王座をかけた試合は、2022年のフランシス・ガヌー戦と2023年のジョン・ジョーンズ戦が負け、2025年のアスピナル戦は無効試合でした。

※名前の表記:UFC日本語公式は「シリル・ガヌ」と書いています。この記事では「シリル・ガン」と書いています。

4. フライ級:ヴァンが2度目の防衛(9月20日)

9月にベルトがかかった試合は1つだけでした。日本時間9月20日のUFC 331(ロサンゼルス)で、フライ級王者のジョシュア・ヴァンが元王者アレッシャンドリ・パントージャとの再戦に判定3ー0(50-45/49-46/48-47)で勝ち、2度目の防衛に成功しました。5ラウンドには右ストレートでダウンも奪っています。

フライ級は、日本の平良達郎と堀口恭司がランキングに入っている階級です(UFC公式ランキング・9月29日更新で平良が4位、堀口が5位)。日本人ファンにとっては、いちばん気になるベルトかもしれません。

▶ くわしくはUFC 331の結果(全12試合)にまとめています。

10月に入ってからの続き:女子フライ級はシウバが新王者に

9月に空位になった女子フライ級のベルトは、すぐに次の持ち主が決まりました。日本時間10月4日のUFC 332(アメリカ・ソルトレイクシティ)で、ナタリア・シウバ(ブラジル)がワン・ツォン(中国)に判定3ー0(48-47/48-47/49-46)で勝ち、新しい女子フライ級王者になりました。シウバはUFCで9戦9勝、一度も負けていません。

▶ UFC 332の結果(全14試合)

9月の動きのあと、UFCの王者はこうなった

2026年10月5日時点の、動きがあった階級の王者です。全階級の王者はMMA王者一覧にまとめています。

階級 8月末の王者 10月5日時点の王者
ヘビー級 トム・アスピナル(正規)/シリル・ガン(暫定) シリル・ガン
フライ級 ジョシュア・ヴァン ジョシュア・ヴァン(防衛)
女子フライ級 ヴァレンティナ・シェフチェンコ ナタリア・シウバ

これからのUFCの王座戦

日付(日本時間) 大会 王座戦
10月25日(日)午前3時〜 UFC 333(アラブ首長国連邦・アブダビ) フェザー級:アレクサンダー・ヴォルカノフスキー vs モフサル・イヴロイエフ
バンタム級:ピョートル・ヤン vs メラブ・ドバリシビリ
▶ UFC 333の予想
11月15日(日)午前11時〜 UFC 334(アメリカ・ニューヨーク マディソン・スクエア・ガーデン) ヘビー級:シリル・ガン vs ジョシュ・ホキット(ガンの正規王者としての初防衛戦)
女子バンタム級:ケイラ・ハリソン vs アマンダ・ヌネス

ガンの初防衛戦の相手、ジョシュ・ホキット(アメリカ・28歳)はプロ10戦10勝で、まだ一度も負けていません。大学ではレスリングとアメリカンフットボールをやり、NFLのサンフランシスコ・49ersに練習生(プラクティス・スクワッド)として2年いたという変わった経歴の持ち主です。2025年11月にUFCでデビューしてから、1年もたたずに王座挑戦までたどり着きました。

▶ 試合の日程は今後の試合予定でも確認できます。

関連ページ

この記事で使った出どころ

情報は2026年10月5日時点のものです。日付は日本時間で書いています(現地の日付を書くときは「現地」とつけています)。誤りを見つけられた場合は、ご指摘いただけると助かります。