【深掘り】ナタリア・シウバとは|UFC9戦9勝で女子フライ級王者になったブラジル人
日本時間10月4日の試合で、シウバはワン・ツォンに判定3ー0(48-47、48-47、49-46)で勝ち、UFC女子フライ級王者になりました。2ラウンドにはハイキックでダウンを奪っています。戦績は21勝5敗1分、UFCでは9戦9勝・15連勝になりました。この記事は試合の前に書いたものです(「30秒でわかる」の表と「よくある質問」は試合後の数字に直しました)。▶ UFC 332の結果(全14試合)/シウバの選手ページ
日本時間の2026年10月4日(日)、UFC 332のメインイベントで、空位になった女子フライ級のベルトをかけて戦うのが、女子フライ級ランキング1位、ブラジルのナタリア・シウバです。
UFCに来てから8戦8勝で、まだ一度も負けていません。UFCの前の試合もふくめると14連勝中。最後に負けたのは2017年12月で、もう8年9か月負けていないことになります。
それでも日本ではあまり紹介されていない選手です。この記事では、シウバがどんな選手で、なぜ負けないのか、そして不安な点はどこかをまとめます。
30秒でわかる ナタリア・シウバ
| 名前 | ナタリア・シウバ(Natália Silva) |
|---|---|
| 生年月日 | 1997年2月3日(29歳) |
| 出身 | ブラジル・ミナスジェライス州 |
| 所属 | チーム・ボハシャ(Team Borracha) |
| 身長・リーチ | 約163cm/約165cm |
| 格闘技の土台 | テコンドー |
| 戦績 | 21勝5敗1分(KO・TKO 5/一本 7/判定 9) |
| UFCでの戦績 | 9戦9勝(無敗) |
| 連勝 | 15連勝中(最後の負けは2017年12月) |
| いまの立場 | UFC女子フライ級王者(10月4日・日本時間のUFC 332でワン・ツォンに判定勝ち)。次の試合は未定(10月5日時点) |
※身長・リーチはUFC日本語公式のインチ表示を換算しました。戦績・連勝もUFC日本語公式の表示です(2026年9月28日に確認し、10月5日に試合後の数字へ直しました)。
1. 16歳でテコンドー、18歳で総合格闘技へ
シウバが格闘技を始めたのは16歳だった2013年。恵まれない子どもたちのための地域の取り組み(ソーシャルプログラム)でテコンドーに出会いました(UFC日本語公式)。
その後、友だちに誘われて18歳で総合格闘技(MMA)の試合に初めて出て(本人の話・英語版Wikipedia)、2015年にプロになります。
プロになったばかりのころは、じつは負けも多い選手でした。最初の2年ほどで4回負けています。5つの負けのうち4つは、2015年と2016年のものです。
そこから少しずつ力をつけ、ブラジルの大会「ジャングル・ファイト」で女子フライ級のベルトを取りました(2019年)。このころの勝ちは腕ひしぎ十字固めなどの一本勝ちが多く、通算7つの一本勝ちはすべてUFCに来る前のものです。いまは打撃の印象が強い選手ですが、寝技もできます。
UFCデビューにも時間がかかりました。本人によると、2021年1月にデビューするはずが、試合の1か月前に練習で腕を骨折。その後も腕のケガや鼻の骨折が続き、UFCでの初めての試合は2022年6月になりました(UFC日本語公式のQ&A)。
2. UFCでは8戦8勝|元王者3人にも勝った
| 日付(日本時間) | 相手 | 結果 |
|---|---|---|
| 2022年6月19日 | ジャスミン・ジャスダビシアス | 判定3ー0 勝ち(UFCデビュー戦) |
| 2022年11月20日 | テレザ・ブレダ | 3回 1分27秒 TKO勝ち |
| 2023年5月21日 | ビクトリア・レオナルド | 1回 2分58秒 TKO勝ち |
| 2023年8月20日 | アンドレア・リー | 判定3ー0 勝ち |
| 2024年2月4日 | ビビアン・アラウジョ | 判定3ー0 勝ち |
| 2024年9月8日 | ジェシカ・アンドラージ(元ストロー級王者) | 判定3ー0 勝ち |
| 2025年5月11日 | アレクサ・グラッソ(元フライ級王者) | 判定3ー0 勝ち |
| 2026年1月25日 | ローズ・ナマユナス(元ストロー級王者) | 判定3ー0 勝ち |
※「判定3ー0」は、採点するジャッジ3人が3人ともその選手の勝ちとつけた、という意味です。
とくに目を引くのは最後の3試合です。ジェシカ・アンドラージ、アレクサ・グラッソ、ローズ・ナマユナスは、3人ともUFCのベルトを巻いたことがある元王者。シウバはこの3人に続けて勝っています。
ブレダ戦のTKOは、相手のタックルに合わせて、体を回して蹴るうしろ蹴りでダウンを奪い、上から打ちこんで決めました。テコンドー出身らしい蹴りで倒した試合です。
3. 強さの中身|「当てて、当てさせない」
UFC公式のデータを見ると、シウバの戦い方がよく分かります。
| 項目(UFC公式) | 数字 | どういう意味か |
|---|---|---|
| 1分あたりに当てた打撃 | 4.81 | よく手が出る |
| 1分あたりにもらった打撃 | 2.36 | 当てた数の半分以下しかもらわない |
| 打撃をよける割合 | 66% | 相手の打撃の3分の2を当てさせない |
| タックルを防ぐ割合 | 90% | 寝かされることがほとんどない |
| 立った状態での打撃 | 94% | ほぼすべて立ち技で戦う |
つまりシウバは、立ったまま、自分はたくさん当てて、相手にはあまり当てさせない選手です。タックルもほとんど通さないので、相手は寝技に持ちこんで流れを変えることもむずかしい。当サイトは、これがシウバの「崩れにくさ」の正体だと見ています。
一方で、UFCの8勝のうち6つは判定です。UFCでは、倒しきるより15分間を通して上回って勝つことが多い選手です。
4. 不安な点|前の試合は「きわどい判定」だった
2026年1月のローズ・ナマユナス戦は、ジャッジ3人とも29-28でシウバの勝ち。ただ、この判定には異論も出ました。
採点を集める記録サイト「MMA Decisions」に載った記者の採点では、18人中13人がナマユナスの勝ちとつけていました(9月28日に確認)。アメリカのYahoo Sportsも「議論を呼んだ判定」と伝えています。
全勝の記録は守りましたが、元王者を相手に、はっきり上回ったとは言いきれない試合だったということです。
そして今回は、ふだんの3ラウンドではなく、タイトルマッチの5ラウンド(25分)。シウバがUFCで5ラウンドを戦うのは、これが初めてです。
5. 相手のワン・ツォンは「打撃の人」
相手のワン・ツォン(中国・34歳)は、散打(さんだ・中国式のキックボクシング)の世界王者で、アマチュアボクシングの世界選手権でも銀メダルを取った、打撃の経歴が豊富な選手です。
しかも、じつは2015年のキックボクシングの試合で、ヴァレンティナ・シェフチェンコに判定で勝ったことがあります。UFCのベルトではなく、中国の大会「崑崙決(クンルン・ファイト)」の王座をかけた試合でしたが、シウバが本来戦うはずだった相手に、別の競技で勝っている選手です。
UFC公式のデータでは、1分あたりに当てた打撃はワン・ツォンが6.82、シウバが4.81。手数ではワン・ツォンが上です。2人とも立ち技で戦う時間が長い選手なので、当サイトは立ち技の打ち合いが中心になると見ています。
海外のオッズ(賭けの倍率)ではシウバが本命です(UFC日本語公式の表示でシウバ−205/ワン・ツォン+170、9月28日時点)。
※オッズのマイナスの数字がついているほうが「勝つと見られている」選手です。−205は「約2倍賭けてやっと1倍もうかる」、+170は「賭けた額の1.7倍もうかる」という意味で、シウバがやや有利と見られている、ということです。
▶ ワン・ツォンのくわしい紹介は ワン・ツォンとは|シェフチェンコに勝ったことがある、中国の打撃のスペシャリスト
▶ 何時から・試合順・配信は UFC 332は何時から?全13試合の試合順と配信【10月4日】
よくある質問
ナタリア・シウバはUFCで負けたことがありますか
ありません。UFCでは9戦9勝です(2026年10月5日時点)。最後に負けたのは、UFCに来る前の2017年12月です。
シウバの読み方は「シルバ」ではないのですか
ポルトガル語の発音に近い「シウバ」が、UFC日本語公式の表記です。当サイトもそれに合わせています。
シェフチェンコと戦ったことはありますか
ありません。UFC 332で初めて対戦する予定でしたが、シェフチェンコがケガで欠場し、王座を返上しました。
UFC 332の結果は
日本時間10月4日(日)のメインで、ワン・ツォンに判定3ー0(48-47、48-47、49-46)で勝ち、空いていた女子フライ級のベルトを獲りました。全試合の結果は UFC 332の結果 にまとめています。
この記事で使った出どころ
- 戦績・連勝・UFCでの試合・身長・リーチ・データ:UFC日本語公式 選手ページ
- オッズ・対戦カード:UFC日本語公式 大会ページ
- 生年月日・テコンドーを始めたいきさつ・UFC前の戦績:英語版Wikipedia/日本語版Wikipedia
- ナマユナス戦の採点:MMA Decisions/Yahoo Sports
- UFC 332の組まれ方:CBS Sports/ESPN
- ワン・ツォンとシェフチェンコの試合:Sherdog
情報は2026年9月28日時点のものです。日付は日本時間で書いています。確かめられなかったことは書いていません。誤りを見つけられた場合は、ご指摘いただけると助かります。