【深掘り】佐々木尽の24戦を全部並べた|ラジオで話した「KOしかない」の中身
2026年9月21日、佐々木尽は地元・八王子でセムジュ・デビッドと3冠統一戦に臨みます(カードと配信のまとめはこちら)。
この記事では、24戦を1試合も省かずに並べたうえで、試合直前に公開されたラジオ番組のYouTube動画2本で本人が話した中身を紹介します。世界戦の敗戦を本人がどう受け止めたのか、柔道をやめてボクシングを選んだのはなぜか。数字だけでは出てこない部分が、ここに残っています。
30秒でわかる佐々木尽
- いまの立場=OPBF東洋太平洋ウェルター級王者。24戦21勝(18KO)2敗1分でKO率75%
- 次の試合=2026年9月21日、地元八王子でセムジュ・デビッドと日本・OPBF・WBO-APの3冠統一戦
- 目標=日本人がまだ誰も獲っていないウェルター級の世界王座
- あまり書かれていない一点=日本王座を巻いたことが一度もありません。日本のベルトを飛び越えてアジア・東洋太平洋・世界と進んだ選手で、25歳にして初めて日本のベルトを獲れる状態で戦います
1.プロ24戦を全部並べた
2018年8月のデビューから2026年5月の東京ドームまで、8年で24戦。21勝のうち18勝がKO・TKOです。判定までもつれたのは3試合しかありません。数字の並びを見ると、この選手が「倒すことでキャリアを作ってきた」のがはっきり分かります。
| 日付 | 相手・結果 |
|---|---|
| 2026年5月2日 | 田中空に10回2-1判定勝ち OPBF王座を獲得(東京ドーム) |
| 2026年2月19日 | マーロン・パニアモーガンに2回1分21秒TKO勝ち |
| 2025年6月19日 | ブライアン・ノーマンJr.に5回46秒KO負け WBO世界ウェルター級タイトルマッチ |
| 2025年1月24日 | 坂井祥紀に12回3-0判定勝ち WBO-AP5度目・OPBF2度目の防衛 |
| 2024年9月3日 | カミル・バラに7回52秒TKO勝ち WBO-AP4度目・OPBF初防衛 |
| 2024年5月16日 | ジョー・ノイナイに5回43秒TKO勝ち OPBF王座決定戦・WBO-AP3度目の防衛 |
| 2023年7月8日 | 星大翔に11回1分44秒TKO勝ち WBO-AP2度目の防衛 |
| 2023年4月8日 | 小原佳太に3回1分13秒TKO勝ち WBO-AP初防衛 |
| 2023年1月14日 | 豊嶋亮太に1回1分56秒TKO勝ち WBOアジアパシフィック王座を獲得 |
| 2022年11月15日 | パティパーン・クロンクラーンに3回2分31秒TKO勝ち |
| 2022年7月9日 | 関根幸太朗と6回1-0のドロー |
| 2022年4月22日 | マーカス・スミスに5回2分49秒TKO勝ち |
| 2021年10月19日 | 平岡アンディに11回1分58秒TKO負け WBO-AP・日本スーパーライト級王座決定戦※佐々木が計量失格 |
| 2021年7月17日 | 湯場海樹に2回2分3秒KO勝ち 日本ユース初防衛 |
| 2020年12月26日 | 石脇麻生に3回2分30秒TKO勝ち 日本スーパーライト級ユース王座決定戦 |
| 2020年11月23日 | 宮崎辰也に1回2分53秒KO勝ち |
| 2020年8月31日 | 赤岩俊に1回45秒KO勝ち |
| 2019年9月26日 | 近藤哲哉に1回2分36秒TKO勝ち |
| 2019年8月6日 | 佐藤光に4回3-0判定勝ち |
| 2019年6月11日 | ベジータ石川に3回1分36秒TKO勝ち |
| 2019年4月21日 | シリサック・ピンパシットに2回56秒KO勝ち |
| 2019年2月8日 | 津本尚行に1回2分2秒TKO勝ち |
| 2018年11月7日 | 笠井亮に3回33秒KO勝ち |
| 2018年8月24日 | 加藤剛に2回1分55秒KO勝ち プロデビュー戦 |
ひとつ、見落とされがちな事実があります。この24戦を戦って、日本のベルトを一度も巻いていません。獲ってきたのは日本ユース王座、WBOアジアパシフィック王座、OPBF東洋太平洋王座の3つ。日本王座を飛ばして、先に世界へ行った選手です。9月21日は、その空白を埋める試合でもあります。
2.2つの黒星は、まったく質が違う
24戦で2敗。ただし、この2つは中身がかなり違います。1つは自分が体重を作れなかった試合で、もう1つは世界の頂点との差を突きつけられた試合です。ひとまとめに「2敗」と数えると、この選手のことが見えなくなります。
2021年10月19日|平岡アンディに11回TKO負け
WBOアジアパシフィックと日本スーパーライト級の王座決定戦でした。ただし計量に失格したのは佐々木のほうです。前日計量でスーパーライト級のリミットを1.8kg超過し、王座を獲る資格を失いました。試合当日午後5時にも「リミットの8%増以内」という条件で再計量が行われ、平岡が勝った場合だけベルトが動くという変則ルールで実施されています。結果は11回1分58秒のTKO負け。20歳での初黒星でした。
この一戦があるため、「日本王座の懸かる試合は今回が初めて」とは言えません。正確には、日本のベルトを実際に獲れる状態で戦うのが2026年9月21日で初めてということになります。
2025年6月19日|ブライアン・ノーマンJr.に5回KO負け
東京・大田区総合体育館でのWBO世界ウェルター級タイトルマッチ。5回46秒でのKO負けでした。この敗戦で世界ランキングからも外れています。
本人はこの試合を、ラジオでこう振り返っています。
「体は大丈夫だったんですけど、心がやばかったですね。心の傷がでかかったかもしれないです」
ただし、そこで終わっていません。「自分の希望が全て断ち切られたわけではなくて、こういうところを磨けばいけるんじゃないかと本当に思った部分があった」とも話しています。具体的には「ここでパンチを打ったからもらったんだ」「相手が打ちやすいところに自分から入っていた」といった、細かい位置の話です。
そして、負け方についての自己分析がかなり率直でした。
「圧倒的に自分のない部分で、向こうがある部分を全部詰められた感じです。自分のいい部分では、相手は全く戦わなかった」
試合中は「一発にかけて倒してやろうという気持ちだけだった」「怖さはゼロだった」。その結果について、「世界は一発頼りじゃないんだなと思った。全部計画的にやってるんだなと」と語っています。
ここからがこの記事の本題です。試合直前の2026年9月15日と16日、佐々木尽が出演したラジオ番組の映像がYouTubeで2本公開されました。元テレビ朝日アナウンサーの竹内由恵さんがパーソナリティを務めるCBCラジオ「竹内由恵のGood Shape Navi」(毎週月曜20:00〜20:30)の公式チャンネルです。
試合前の選手インタビューはたくさんありますが、この2本は「戦い方の話」よりも「この人がどうやって出来上がったか」に寄っています。ラジオ番組なので、聞き手が格闘技の専門家ではないぶん、本人が言葉を選んで説明しているのが特徴です。しかも本人は「大きい舞台のラジオは初めて」と話しています。
| part①(13分58秒) | 「日本人初のウェルター級世界王者へ」9月21日・3冠王座統一戦!“KOへの絶対的こだわり”と覚悟 2026年9月15日公開 |
|---|---|
| part②(25分02秒) | 【東京ドームTHE DAY】憧れ・井上尚弥選手との秘話!ノーマン戦で得たもの!柔道からボクシングに転向したワケ 2026年9月16日公開 |
収録は試合の3週間前。時間がない人はpart②だけでも十分に面白いというのが当サイトの見方です。以下、特に聞く価値のある5か所を挙げます。
①「凱旋パレードって何ですか」
70歳前後の中屋チーフトレーナーと、いまも2人きりで練習しているという話のなかで出てきたやりとりです。トレーナーが「いつかこの町で凱旋パレードができたらいいよな」と言い、佐々木が「凱旋パレードって何すか」と返した、と竹内さんが紹介しています。夢の中身を知らないまま、その夢を一緒に追いかけている――この試合の空気を一言で表す場面です。
②「お客さんに負けた」
5月2日の東京ドーム・田中空戦は2-1の判定勝ちでしたが、本人の評価は厳しいものでした。
「勝てたことはもちろん嬉しかったんですけど、見せ方としては、お客さんに負けたなという感覚でした」
倒せなかったこと自体より、5万5000人の前で「プロとして何も見せられなかった」という受け止め方をしています。9月21日に本人がKOにこだわる理由は、ここにあります。
③ 世界戦を経験したから、田中空に勝てた
田中空戦で、ロープ際に詰められても受け続けた場面について。あれは練習でやっていた作戦だったと明かしています。止まりながら避けて相手に打たせ、カウンターを合わせる形です。そして、こう続けました。
「世界戦をやる前の自分がやったら、田中選手にやられていたと思います」
世界戦の惨敗が、次の試合の勝因になったという話です。負けを「経験」と言うだけの選手は多いですが、どの場面でどう効いたかまで具体的に言える選手はそう多くありません。
④ 井上尚弥は「師のように見ている」
同じ5月2日の東京ドームでメインを戦った井上尚弥について、練習のときに「師のように見ている」「いいところを盗むと、すごくいい動きができる」と話しています。中谷潤人との一戦の感想は「刀と刀の切り合いみたい」。
直接の交流も少しだけあります。2023年1月の豊嶋亮太戦のあと、井上尚弥の父・信吾さんがわざわざ祝福に来てくれたこと。東京ドームの帰り、駐車場へ向かうエレベーターが一緒になったこと。ただし相手の田中空は井上と同じジムなので、「おめでとうって言っていいか分からないけど、おめでとうみたいな感じで」と笑っています。
⑤ 柔道をやめた日の話
これがpart②でいちばん長く語られる部分です。中学時代は柔道で東京都2位。オリンピックを目指すつもりでいたと本人は話しています。柔道の先生は高校進学のルートまで用意してくれていました。
転機は、両親のひと言でした。攻める柔道で組むときに手が顔へ行ってしまうことがあり、それを見た親が「お前、ボクシングやった方がいいんじゃないか」と言った、というのです。しかも「お前は柔道のセンスがない」とも言われていました。
家庭そのものも独特でした。父はサッカー、母はバスケットボールの選手。「勉強じゃなくて、スポーツで日本一・世界一を目指せ」という教育で、「宿題をやる暇があったらトレーニングしろ」と言われて育ったそうです。
そして高校1年からボクシングに本腰を入れるのですが、最初の試合は負け。2戦目も負けています。「どんな顔して帰ればいいんだろう」と思うほど落ち込んだと本人は言います。それでも続けられた理由が、面白い。
「2回目でちょっと希望が見えたんです。これは殴り合いじゃない、スポーツなんだと分かったので」
喧嘩の延長だと思って始めた競技が、練習で伸びるスポーツだと分かった瞬間に火がついた、という話です。
4.「日本人初」が、どれくらい難しいのか
佐々木が掲げる目標は、日本人がまだ誰も獲っていないウェルター級(147ポンド=66.68kg)の世界王座です。本人もラジオで「日本人でまだ誰も成し遂げたことがない」と明言しています。
難しさの理由は、本人の説明が分かりやすいものでした。
- ウェルター級は世界で最も競技人口が多く、人気も高い花形の階級(メイウェザー、パッキャオらが象徴)
- 一方で日本人選手は他の階級に比べて少ない
- そのため世界に挑戦できる日本人自体がほとんど出てこない
体格差については、こう言っています。「バネが違うというのはある。でも耐久力とスタミナは全然劣っていない」。そして自分の強みとして挙げたのが柔道で鍛えた体幹でした。海外遠征では毎回1か月ほど滞在して世界王者クラスとスパーリングし、「通用するな、という手応えがある」と話しています。
ちなみに、本人のもとには「お前には無理だから早くやめちまえ」というDMも届くそうです。それを踏まえた9月21日への意気込みが、これでした。
「応援してくれている人に、よかったなと思ってもらえる1日にしてもらいたいですね」
5.よくある質問
Q. 佐々木尽の戦績を教えてください。
A. 2026年9月時点で24戦21勝(18KO)2敗1分。KO率75%です。2敗は平岡アンディ(2021年)とブライアン・ノーマンJr.(2025年)、1分は関根幸太朗(2022年)です。
Q. いま何のベルトを持っていますか?
A. OPBF東洋太平洋ウェルター級王座です(2026年5月2日に田中空を破って獲得)。以前持っていたWBOアジアパシフィック王座は5度防衛して返上しています。
Q. 世界ランキングは何位ですか?
A. WBOが2026年8月2日(日本時間3日)に発表したランキングで世界ウェルター級15位に復帰しました。ノーマン戦の敗戦で圏外になっていたところからの再ランクインです。その後の更新で14位としている資料もあります。
Q. 身長やリーチは?
A. 身長174cm・リーチ176cm、構えはオーソドックスです。ウェルター級としては大きいほうではありません。
Q. 竹内由恵さんの番組にはいつ出たのですか?
A. CBCラジオ「竹内由恵のGood Shape Navi」に出演し、その映像が2026年9月15日(part①)と9月16日(part②)に公式YouTubeチャンネルで公開されました。合計約39分です。番組の最後には「来週も佐々木選手にお話を伺います」とあり、続きも予定されています。
Q. 9月21日はどこで見られますか?
A. Leminoプレミアム(月額1,540円・Web登録の場合)の独占生配信で、13:00開始です。会場は東京たま未来メッセ。くわしくは9月21日のカードまとめをどうぞ。
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