2026年9月10日(木)、京セラドーム大阪で行われる「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」。そのメインイベントで、RIZINフェザー級王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフAJ・マッキーと戦います。

日本のファンにとって、この人はまだ「よく分からない外国人」だと思います。名前は聞くけれど、どこの誰で、どのくらい強いのかがはっきりしない。

この記事は、シェイドゥラエフだけを掘る記事です。

先に結論を書きます。この人はプロで19試合戦って19勝0敗、そして判定まで行った試合が1つもありません。19試合すべてが、相手を倒すか、極めるかで終わっています。

30秒でわかる ラジャブアリ・シェイドゥラエフ

名前 ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(Razhabali Shaydullaev)/RIZINでの呼び名は「キルギスの犬鷲」
生年月日 2000年10月11日(9月10日の時点で25歳)
国籍・出身 キルギス。生まれはタジキスタンとキルギスの国境近くのジェルゲタウ村で、高校まではタジキスタンで暮らしていました
体格 170cm
所属 イーラスMMA(キルギス・ビシュケク)
戦績 19戦19勝0敗(KO・TKO 7/一本 12/判定 0
バックボーン 高校でサッカーと柔道。卒業後にビシュケクへ移ってレスリングを始め、3年後に総合格闘技へ。グラップリング(組み技)の大会でも優勝しています
タイトル RIZINフェザー級王者。2025年5月4日にクレベル・コイケを倒して獲得し、3度防衛
直近の試合 2026年4月12日 久保優太に1ラウンド4分13秒TKO勝ち(RIZIN LANDMARK 13)
ここが一番の特徴 19戦して判定が1度もない。王座を獲ってからの4戦は、4つ合わせても8分42秒で終わっています

1. 19戦19勝。プロでは判定が1度もありません

まず、ここです。

格闘技の試合は、時間切れになると審判の採点で勝ち負けを決めます。これが「判定」です。強い選手でも、判定で勝った試合は必ずいくつかあります。

シェイドゥラエフには、それが1つもありません。

決着のしかた 回数
KO・TKO(打撃で倒す) 7回
一本(絞める・極める) 12回
判定 0回

19戦19勝で、19試合とも自分で終わらせている、ということです。

1ラウンドを5分として全19試合の時間を足すと、合わせて1時間26分ほどにしかなりません。1試合あたり4分半です。ふつうのMMAの試合は5分3ラウンド=最大15分ですから、1ラウンドの終わりを見ないまま勝ってきた選手だと分かります。

2. 12回の一本勝ち。じつは「絞め技の人」でした

倒すイメージが強い選手ですが、19勝のうち12勝は一本勝ちです。しかも中身が偏っています。

一本の種類 回数
首を絞める技(裸絞め・三角絞め・アナコンダ) 8回
関節を極める技(腕・脚) 4回

つまり、この人はもともと「相手の背中に回って首を絞める人」でした。レスリングで相手を倒し、そのまま背中に回る、という勝ち方です。

2024年6月9日のRIZIN.47で、元UFCの武田光司に1ラウンドで裸絞めを極めた試合が、その典型でした。日本デビュー戦です。

3. ところが、ここ5戦は全部パンチで倒しています

ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。

直近の5試合を並べます。

試合日 相手 決着
2026年4月12日 久保優太 1R 4:13 TKO(パウンド)
2025年12月31日 朝倉未来 1R 2:54 TKO(パウンド)
2025年9月28日 ビクター・コレスニック 1R 0:33 TKO(右ストレート)
2025年5月4日 クレベル・コイケ 1R 1:02 KO(右フック)
2024年12月31日 久保優太 2R 2:30 TKO(パウンド)

5戦とも打撃です。一本は1つもありません。

その前の14試合では12回が一本勝ちだったのですから、勝ち方がはっきり入れ替わっています。

これは相手にとってやっかいです。「組ませなければいい」と思って距離を取れば、いまはパンチが飛んできます。「打ち合えばいい」と思って前に出れば、背中に回られて絞められます。逃げ場のある選手ではない、ということです。

4. 王座を獲ってからの4戦は、合わせて8分42秒

2025年5月4日にベルトを獲ってから、防衛戦を3回やっています。獲った試合を入れた4試合が、これです。

試合日 相手 時間
2025年5月4日(王座獲得) クレベル・コイケ 1R 1:02
2025年9月28日(1度目の防衛) ビクター・コレスニック 1R 0:33
2025年12月31日(2度目の防衛) 朝倉未来 1R 2:54
2026年4月12日(3度目の防衛) 久保優太 1R 4:13
4試合の合計 8分42秒

4試合とも1ラウンドです。2ラウンドのゴングを、1年近く聞いていません。

ちなみに、この4試合のうち3試合はRIZINフェザー級のタイトルマッチです。日本のトップクラスを相手にして、この時間で終わらせています。

5. タジキスタンの村から来た人です

生まれたのはタジキスタンとキルギスの国境近くにあるジェルゲタウという村で、高校まではタジキスタン側で暮らしていました。高校ではサッカーと柔道をやっていたそうです。

卒業してキルギスの首都ビシュケクに移り、そこでレスリングを始めます。レスリングを3年やってから総合格闘技に転向し、イーラスというジムに入りました。プロデビューは2019年6月、18歳のときです。

いま25歳で19戦19勝ですから、7年で1度も負けずにここまで来たことになります。

6. アマチュアでは、3日続けて3試合戦って優勝しています

プロの戦績とは別に、2022年11月にGAMMAというアマチュアの大会に出ています。

日付 ラウンド 結果
2022年11月10日 1回戦 判定3-0で勝ち
2022年11月11日 準決勝 1R 0:51 キムラロックで一本勝ち
2022年11月12日 決勝 1R 2:26 三角絞めで一本勝ち

3日続けて3試合を戦って、優勝しています。

なお、さきほど「判定が1度もない」と書きましたが、それはプロの19戦の話です。このアマチュアの1回戦だけは判定勝ちでした。正確を期して書いておきます。

この試合の見どころを3つに絞ると

  1. 1ラウンドを越えられるかどうか。シェイドゥラエフは直近4戦とも1ラウンドで終わらせています。マッキーが2ラウンドのゴングを聞けたら、それ自体がひとつの結果です。
  2. マッキーは27戦して一度も倒されていません。2つの黒星はどちらも判定負けです。「全部倒す男」と「倒されない男」が、ここでぶつかります。
  3. 判定になったらどうなるか。シェイドゥラエフはプロで判定を経験していません。逆にマッキーは直近3戦とも判定勝ちです。試合が長引くほど、経験の差が出る可能性があります。

くわしい対戦の中身は、試合の記事にまとめています。

シェイドゥラエフ vs AJ・マッキー|全部倒す男と、倒されない男

この記事で使った出どころ

  • Wikipedia「ラジャブアリ・シェイドゥラエフ」(日本語版)/「Razhabali Shaydullaev」(英語版)の戦績表
  • Tapology の戦績データ(19戦19勝/KO・TKO 7/一本 12)
  • RIZIN FIGHTING FEDERATION 公式サイトの試合結果

戦績は2026年9月8日時点で、2つ以上の情報源で数字が一致することを確かめたものだけを載せています。デビュー初期の試合は情報源によって決着時間が数秒ちがうため、この記事では合計や種類の内訳だけを使い、1試合ごとの秒数はRIZIN以降の試合に限って書いています。