2026年8月29日(土)夕方、都内で行われた『ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り』の合同公開練習で、ドンマイ川端(36=JAPAN TOP TEAM)の欠場が発表されました。診断は左眼窩底骨折(さがんかていこっせつ)、全治2〜3か月です。

9月10日(木)京セラドーム大阪の第8試合冨澤大智 vs. ドンマイ川端」(RIZIN MMAルール 5分3R・59.0kg)は中止。川端のプロMMAデビュー戦は、一度もリングに立たないまま消えました。

本サイトは8月27日に「「ドンマイ川端が超RIZIN.5を欠場」は本当か」という検証記事を出し、そこで「発表が出たら日付入りで続報を書く」と約束しました。これがその続報です。結論から言うと、噂は当たっていました。ただし、噂の「根拠」のほうは外れていました。その話は記事の後半で書きます。

8月29日に発表されたこと

項目 内容
発表の場 8月29日(土)の合同公開練習(都内・16時半開始)。川端本人が姿を見せて説明した
診断名 左眼窩底骨折
全治 2〜3か月
中止になる試合 第8試合 冨澤大智 vs. ドンマイ川端(59.0kg)
冨澤大智はどうなる 出場の意思あり。榊原信行CEOが代役を探す

いちばん重い一言は「内緒にして試合に出ようと思っていた」

この日の発表で、榊原信行CEOはこう話しています。

「左眼窩底骨折、全治2〜3か月。ほんとにドンマイは、えらいことやらかしちゃったな。お前な。内緒にして試合に出ようと思っていたくらい、これだけ爆上げしといて、多分一番ショックを受けてるのはドンマイだと思います。この状態で試合をさせるわけにはいかない。冨澤にも失礼」

ここが今回いちばん大事なところだと思います。川端は「隠して出る」つもりだったということです。止めたのは本人ではなく、RIZINの側でした。

川端本人のコメントも、最初から最後まで謝罪でした。

「お時間を取っていただきありがとうございます」「対戦予定だった冨澤選手、申し訳ありません。RIZIN関係者の皆さま、試合を楽しみにしていただいた皆さま、本当に申し訳ございません」

自分の名前に忠実すぎるというか、そのような結果になってしまった」

「許されるのであれば、1度も立っていないけど、リングに立ちたいです」

「ドンマイ」という自分のリングネームで自虐してみせる余裕はありましたが、ここまで来て出られない悔しさは相当なものだと思います。

眼窩底骨折とは|「目の下の床が抜ける」ケガ

聞き慣れない名前なので、一般的な説明をしておきます(筆者は医師ではないので、あくまで公表されている医学情報の範囲です)。

目玉は、頭がい骨の中の「眼窩(がんか)」というくぼみに入っています。このくぼみの「床」にあたる部分の骨が、紙のように薄いのが特徴です。

顔面に強い衝撃を受けると、眼窩の中の圧力が逃げ場を失って、いちばん薄い床を突き破ります。これが眼窩底骨折で、「ブローアウト骨折(吹き抜け骨折)」とも呼ばれます。

やっかいなのは、折れた穴に、目玉を動かす筋肉や周りの脂肪がはさまってしまうことです。そうなると目がうまく動かせなくなり、ものが二重に見える(複視)という症状が出ます。医学の論文では、この複視が起きる割合は6割ほどと報告されています。

格闘技で考えると、これは「絶対に出せない」種類のケガです。理由は2つあります。

  • ものが二重に見えていたら、相手のパンチが見えない。MMAは59kgの相手と5分3ラウンド殴り合う競技です
  • 折れているのが、これから殴られる場所そのもの。くっつきかけの薄い骨に、また衝撃が入ります

榊原CEOの「この状態で試合をさせるわけにはいかない」は、そのままの意味だと思います。

消えたのは「東京五輪の金メダリストに2度勝った男」の初陣

今回の中止で何が惜しいのかは、川端の柔道の実績を見るとはっきりします。

大会 結果
2009年 全日本学生体重別 優勝
2011年 講道館杯 60kg級 優勝(決勝で髙藤直寿を小内刈で破る)
2011年 グランドスラム東京 2位
2013年 全日本選抜体重別 60kg級 優勝(準決勝でふたたび髙藤直寿に勝利
2014年 ヨーロッパオープン(オーバーヴァルト) 優勝

ここで2回名前が出てくる髙藤直寿は、東京五輪の柔道男子60kg級 金メダリストです。川端は2011年(髙藤が高校3年、川端が大学4年のとき)と2013年の2回、この髙藤に勝っています。

つまり「後の五輪王者に2度勝っている36歳」のMMAデビュー戦が、今回消えたカードでした。朝倉海が自身のYouTubeで「寝技になったら絶対に一本取る。柔道でトップになっている人は違う。マジで強いです」と太鼓判を押していたのも、この経歴があってのことです。

川端は2019年からYouTubeを始め、チャンネル登録者は40万人を超えています。2023年のBreakingDownでヒロヤと延長戦まで戦い、今年4月に榊原CEOと面会して「柔道界を背負ってくれ」と声をかけられ、RIZIN参戦が決まった——という流れでした。36歳での、遅すぎるデビュー戦。それが本番の12日前に消えたことになります。

いちばん割を食ったのは冨澤大智|「これは貸しです」

忘れられがちですが、実害をいちばん受けたのは対戦相手だった冨澤大智です。9月10日に向けて仕上げてきたところで、あと12日というタイミングで相手が消えました。

その冨澤のコメントが、この日いちばん良かったと思います。

「会場までたくさん応援に来てくれる方がいましたが、すいません」

「格闘技は怪我は付き物なので仕方ない。怪我くらいは俺もしてるし、これは貸しです

「JTTの選手がドンマイ川端が強いって言っていて、楽しみにしていました。万全の状態でもう1回やりましょう

そのうえで冨澤は「(代わりの)相手を見つけてくれればやります」と、今大会への出場そのものには意欲を示しています。榊原CEOも代役を探す方針です。

ただし本番まで12日。59.0kgという契約体重で、この時期から相手が見つかるかどうかが焦点になります。過去にRIZINが欠場を発表したケースでは、代役が同時に発表されることも、階級を変えて成立させることもありました(後述)。

【答え合わせ】噂は当たっていた。でも根拠は外れていた

ここからは、本サイトが8月27日に書いた検証記事の答え合わせです。

あのとき広まっていた噂の最大の根拠は「8月29日の合同公開練習の登壇予定10名に、川端の名前がない」というものでした。本サイトはこれに対して「名前がない=欠場、ではない」と書きました。日本人で名前がなかったのは川端・斎藤裕・RENAの3人で、斎藤とRENAの欠場を疑う声はどこにもなかったからです。

結果はこうなりました。

8月27日に書いたこと 8月29日の結果
結論 公式発表はまだ出ていない(=この時点では欠場は未確定) 発表は8月29日に出た
噂の根拠 「公開練習に名前がない=欠場」ではない 川端はその公開練習に来ていた
斎藤裕・RENA 名前がないが欠場を疑う声はない 2人とも何ごともなし

ここが今回いちばん面白いところだと思います。川端は、登壇予定10名に入っていなかった公開練習に、ちゃんと来ていました。自分の口で欠場を説明するためです。

つまり「リストに名前がない」ことは、最後まで欠場の証拠ではありませんでした。噂は結論だけが当たっていて、そこにたどり着くための理屈は間違っていた——ということになります。

SNSでよく起きることですが、結論が当たると、間違った理屈まで正しかったことにされてしまいます。次に同じ形の噂が出たときのために、ここは分けて記録しておきます。

復帰はいつになるのか(ここからは本サイトの推測です)

川端は「許されるのであれば、リングに立ちたい」と話しました。では、いつごろになるのか。発表された数字だけで計算してみます。

2026年8月29日から全治2〜3か月=2026年10月29日〜11月29日ごろ。

いま発表されているRIZINの大会と並べると、こうなります。

大会 日付 全治との関係
RIZIN LANDMARK 16 in NAGASAKI 10月3日(土) 不可能(全治のいちばん早い見立てにも届かない)
RIZIN LANDMARK 17 in CHIBA 11月8日(日) 計算上ぎりぎり(「全治2か月」ならちょうど過ぎたあたり)
年末大会(例年12月31日) 未発表 現実的にはこのあたり

ただし「全治」=「殴られてよい日」ではありません。骨がくっついたあとに、動きの確認、スパーリングの再開、減量と、段階を踏む必要があります。11月8日は数字の上ではぎりぎり届きますが、実際には年末以降と考えるのが自然だと本サイトは見ています。

そのとき川端は37歳(誕生日は11月29日)。冨澤が言った「万全の状態でもう1回やりましょう」が実現するとしたら、そのあたりになりそうです。

公式サイトの対戦カードは、まだ変わっていない

8月29日 19時30分の時点で、RIZIN公式サイトの超RIZIN.5対戦カードのページは「冨澤大智 vs. ドンマイ川端」のままです。今回の発表は公開練習の場で口頭で行われたもので、サイト上の告知はこれからになります。

RIZINは2026年に入ってから、欠場を必ず「お知らせ」の形で出しています。次に見るべきはここです。

大会 欠場した選手 RIZINの対応
RIZIN.52(3月7日) 相本宗輝(大会4日前に交通事故) 「対戦カード変更のお知らせ」を掲載。代役に武田光司、契約体重を66.0kg→71.0kgに変更
LANDMARK 15(7月18日) 篠塚辰樹(頚椎症性神経根症) 7月13日に「カード変更」を掲載。代役に火の鳥
RIZIN.54(8月11日) ケイト・ロータス(左膝じん帯損傷・全治2か月) 大会8日前に発表。NOEL戦は10月3日の長崎大会へ延期

診断名・代役・延期先まで書くのがRIZINのやり方です。冨澤の相手が誰になるのかも、この「お知らせ」で出てくると思われます。動きがあれば、この記事に日付入りで追記します。

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