UFCフェザー級王者のアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(オーストラリア)が、20戦20勝・一度も負けたことがない挑戦者、モフサル・エヴロエフ(ロシア)を迎えます。舞台はアラブ首長国連邦・アブダビの「UFC 333」。日本時間2026年10月25日(日)の朝です(現地は10月24日・土曜日の夜)。

同じ大会では、バンタム級王者のピョートル・ヤンとメラブ・ドバリシビリの3度目の対戦も組まれました。1つの大会でベルトが2本かかる、豪華な一夜です。

メインの2人は、戦い方がはっきり分かれます。エヴロエフはUFCで10戦して10勝、しかも10試合すべてが判定。タックルと組みで、確実にラウンドを取っていく選手です。対するヴォルカノフスキーは1分あたりの有効打(きれいに当たったパンチやキック)が約6発と、打撃の手数で勝ってきた王者。この記事では「タックルで押さえこむ挑戦者」と「手数で上回る38歳の王者」のぶつかり合いを、数字と過去の試合から予想します。

先に結論|当サイトの予想

先に結論を書きます。理由は、このあと数字と過去の試合で説明します。

  • メイン(フェザー級)の本線=ヴォルカノフスキーの判定勝ち。相手のタックルを防ぎながら、立ったままの打ち合いで手数の差をつける形
  • メインの対抗=エヴロエフの判定勝ち。試合の後半にタックルを重ね、倒して上から攻める時間でラウンドを取る形
  • メインの自信の度合い=低め。海外の賭け率はわずかにエヴロエフ寄りで、ほぼ五分と見られています
  • セミ(バンタム級)の本線=ヤンの判定勝ち。2戦目と同じく、ドバリシビリのタックルをほとんど防ぐ形

1. 大会の日時・会場・配信

まずは基本の情報です。アブダビは日本より5時間遅れているので、現地の土曜日の夜が、日本では日曜日の朝になります。

項目 中身
大会 UFC 333: ヴォルカノフスキー vs エヴロエフ
日にち 日本時間2026年10月25日(日)(現地は10月24日・土)
会場 エティハド・アリーナ(アラブ首長国連邦・アブダビ)
アーリープレリム(前座の前半) 10月24日(土)夜11時〜
プレリム(前座の後半) 10月25日(日)午前1時〜
メインカード(注目の5試合) 10月25日(日)午前3時〜(現地は24日の夜10時)
王座がかかる試合 フェザー級タイトルマッチ(メイン)/バンタム級タイトルマッチ(セミ)
日本での配信 U-NEXT(UFCの全大会をライブ配信すると発表ずみ)/UFC FIGHT PASS

※時刻はUFC日本語公式の大会ページの表示(2026年10月7日に確認)。メインイベントの開始時刻は発表されていません。メインカードは5試合あるので、メインは朝5時〜6時ごろになりそうです(目安)。

U-NEXTは2025年11月、UFCとの契約を2031年まで延ばし、UFCの全大会をライブ配信すると発表しています。ただ、10月7日の時点では、U-NEXTで「UFC 333」を検索しても、まだライブ配信の枠は出ていませんでした。番組表が出たら、この記事に書き足します。
※2026年10月20日追記:U-NEXTに配信ページが出ました。見放題で、25日(日)午前0時45分に配信開始・午前1時開演予定です。くわしくはこちら配信サービスのくわしい違いはどこで見られる?にまとめています。

2. 2人をくらべる

年齢は王者が6つ上。体の大きさはほぼ同じですが、勝ち方の中身がまったく違います。

項目 ヴォルカノフスキー エヴロエフ
国 オーストラリア ロシア(イングーシ共和国)
試合の日の年齢 38歳 32歳
身長/リーチ 168cm/180cm 170cm/183cm
戦績 32戦28勝4敗 20戦20勝0敗
UFCでの成績 18戦15勝3敗 10戦10勝(10試合すべて判定)
立場 王者(2度目の戴冠・1度防衛) フェザー級1位・初めてのタイトル戦
もとの競技 ラグビーリーグ、レスリング グレコローマン・レスリング(スポーツマスター)
前の試合 2026年2月 ジエゴ・ロペスに判定勝ち(防衛) 2026年3月 レローン・マーフィーに判定勝ち

※身長・リーチ・年齢はUFCの公式記録サイトUFCStats、戦績はUFC日本語公式とUFCStats・英語版Wikipediaを突き合わせました(2026年10月7日時点)。UFC日本語公式では、エヴロエフは「イヴロイエフ」と書かれています。

おもしろいのは、2人とも「格闘技一本」の道を歩いてきたわけではないことです。ヴォルカノフスキーは体重97kgのラグビー選手から、エヴロエフはコンピューターのプログラミングと法律を学んだあとに、総合格闘技へ進みました(Arab News)。

3. エヴロエフ|20戦無敗、UFCでは全部判定

エヴロエフは、ロシアの総合格闘技団体M-1で王者になってから、2019年にUFCへ来ました。UFCでの10試合は、すべて最後まで戦って判定で勝っています。

UFCの10試合で、タックルを51回成功

エヴロエフの武器はタックルです。UFCの10試合で決めたタックルは合計51回。15分あたり4.78回(3ラウンドの試合なら1試合で5回ほど)で、成功率は52%です(UFCStats)。前のマーフィー戦では10回仕掛けて9回決めました。

UFCでの試合 相手 決めたタックル 結果
2026年3月 レローン・マーフィー 9回(10回中) 5回判定 2-0(48-46、48-46、47-47)
2024年12月 アルジャメイン・スターリング 4回(5回中) 3回判定 3-0(29-28が3人)
2024年1月 アーノルド・アレン 5回 3回判定 3-0
2023年5月 ジエゴ・ロペス 4回(7回中) 3回判定 3-0

※UFCStatsの試合ごとの記録より。マーフィー戦は第4ラウンドに反則(下腹部への打撃)で1点引かれています(AAP)。「2-0」は、採点する3人のジャッジのうち2人がエヴロエフの勝ち、1人が引き分け(47-47)とつけた、という意味です。

注目したいのは、マーフィー戦のタックルの「時間帯」です。1・2回は1回も仕掛けず、3回に1回、4回に3回、5回には5回仕掛けて5回とも決めました(UFCStatsのラウンドごとの記録)。初めての5ラウンドでも、最後まで動きが落ちなかったことになります。一方で、9回倒しても、上から押さえた時間は合計3分54秒でした。なお、総合格闘技の採点は「倒した回数」や「押さえた時間」だけでは決まりません。倒したあとにどれだけ攻められたかも見られます。採点が48-46、48-46、47-47の接戦になったのは、そのためだと考えられます。

KOや一本で勝ったのは2018年が最後

エヴロエフは、UFCではまだKO・一本勝ちがありません。最後にKOや一本で勝ったのは、M-1時代の2018年です(M-1では5回にKO勝ちした試合もあります)。UFCの10勝がすべて判定なので、当サイトはこの試合も判定までもつれる見込みが高いと見ています。

スターリング戦は29-28の接戦

レスリングの強い相手には、エヴロエフも楽に勝てていません。元バンタム級王者のアルジャメイン・スターリングとの試合では、エヴロエフのタックルが4回決まった一方で、スターリングにも6回倒されています。採点は3人とも29-28。わずか1ラウンドの差でした。マーフィー戦も、当てた有効打の数は86対89で、マーフィーのほうが多く当てています。エヴロエフは、打撃だけで大きな差をつけるより、タックルと組みを混ぜてラウンドを取ってきた選手だ、と数字からは読めます。

4. ヴォルカノフスキー|38歳の王者の手数

ヴォルカノフスキーは、2019年から2024年まで王座を守り続け、一度失ってから取り返した王者です。武器は、休まずに打ち続ける手数です。

1分に約6発の有効打

UFCStatsによると、ヴォルカノフスキーが当てる有効打は1分あたり5.99発。エヴロエフの3.91発を大きく上回ります。2026年2月のロペスとの再戦では98発を当てて、採点は49-46、49-46、50-45。2回目の対戦は、1回目よりはっきりした差で勝ちました。

レスラーへの答え|マハチェフ戦

「レスラーに押さえこまれたら負けるのでは」という見方に、本人はこう答えています。

マハチェフとの試合を見てほしい。みんな、ぼくが押さえこまれると思っていた。ぼくは押さえこまれない。(AAP、2026年3月)

2023年2月、1階級上のライト級でイスラム・マハチェフに挑んだ試合は判定で負けました。それでも、当てた打撃の数はヴォルカノフスキー70、マハチェフ57。マハチェフにタックルを4回決められながら、5ラウンドを最後まで戦い抜いています。ただ、この試合ではマハチェフに合計7分37秒も押さえこまれ、それが判定負けにつながりました。「組みに強い相手にラウンドを取られた例」でもあるわけです。マハチェフは1階級上の王者だったので、エヴロエフとそのままくらべることはできません。UFCでの通算のタックル防御率は68%です(UFCStats)。

心配な点|年齢と2つのKO負け

不安もあります。試合の日には38歳。2023年10月にはマハチェフにハイキックで1回KO負け、2024年2月にはイリア・トポリアに2回KO負けと、2試合続けて倒されたことがあります。ただ、その後のロペスとの2試合では、どちらも5ラウンドを戦い切って勝ちました。エヴロエフはUFCでKO勝ちがない選手ですが、王者が2度倒されているのも事実なので、打たれる危険がなくなるわけではありません。そのうえで、この試合のいちばんのカギは「5ラウンドを通して、倒されずに動き続けられるか」になりそうです。

5. 共通の相手|ジエゴ・ロペス

2人には共通の相手がいます。ブラジル出身のジエゴ・ロペスです。

選手 ロペスとの試合
ヴォルカノフスキー 2025年4月 5回判定勝ち(49-46、49-46、48-47)
2026年2月 5回判定勝ち(49-46、49-46、50-45)
エヴロエフ 2023年5月 3回判定勝ち(29-28、29-28、30-27)

どちらもロペスに勝っています。ただ、エヴロエフ戦は3ラウンド(15分)、ヴォルカノフスキー戦は5ラウンド(25分)で、試合の長さも違います。そのうえ、エヴロエフとの試合は、ロペスがわずか5日前に代役で決まったUFCデビュー戦でした(英語版Wikipedia)。それでもロペスは、UFCStatsの記録で一本(関節技や絞め技で相手を降参させる技)を4回狙っています。一方のヴォルカノフスキーは、王者になった後のロペスと5ラウンドを2回戦って、2回とも勝ちました。条件が違うので、「どちらが上」とは決められません。参考になるのは、ヴォルカノフスキーは5ラウンドの試合で実績が多いという点です。

6. 予想の理由と、ひっくり返る条件

ここまでをまとめると、立ったままの時間が長いほどヴォルカノフスキーが有利、倒して押さえる時間が長いほどエヴロエフが有利、という形になります。

ヴォルカノフスキーを本線にした理由

  • 打撃の手数=1分あたり5.99発と3.91発
  • 5ラウンドの経験=王者はタイトル戦を何度も戦い切ってきた。エヴロエフのUFCでの5ラウンドはマーフィー戦の1回だけ
  • レスラーへの実績=マハチェフとも5ラウンドを戦い抜いた

エヴロエフが勝つ形

  • マーフィー戦と同じように、3回以降にタックルを増やして、倒したあとも攻め続ける
  • 5ラウンド目まで動きが落ちない体力で、38歳の王者の後半の手数を上回る
  • スターリング戦のような接戦の判定を、1ラウンドの差で拾う

賭け率はわずかにエヴロエフ

UFC日本語公式の大会ページに出ている海外の賭け率は、ヴォルカノフスキー「-105」、エヴロエフ「-115」でした(10月7日時点)。マイナスがついた数字は、0から遠いほうが有利という意味です。つまり「-115」のエヴロエフが、ほんの少しだけ有利と見られています。賭け率が出はじめたころは、王者のほうがわずかに有利でした(Heavy.com)。そこから見方が入れかわったことになります。どちらにしても、ほぼ五分の勝負です。

※賭け率は、海外で見られている勝ち負けの見方の目安として紹介しています。賭けをすすめるものではありません。日本国内から海外の賭けサイトで賭けることは法律で禁じられています。

7. セミ|ヤン vs ドバリシビリ、3度目の対戦

セミファイナルは、バンタム級タイトルマッチ。王者ピョートル・ヤン(ロシア・33歳)に、前の王者メラブ・ドバリシビリ(ジョージア・35歳)が挑みます。1勝1敗で迎える、決着の3戦目です。

1戦目と2戦目の数字

試合 勝った人 ドバリシビリのタックル 当てた打撃(ドバリシビリ対ヤン)
2023年3月(ラスベガス) ドバリシビリ(5回判定) 11回成功 147対75
2025年12月(UFC323・ラスベガス) ヤン(5回判定 49-46、49-46、48-47) 29回仕掛けて2回だけ 134対139

※UFCStatsの試合ごとの記録より。

2戦目はタックルを27回防いだ

ドバリシビリは、休まずタックルを仕掛け続ける選手です。2025年10月のサンドヘイゲン戦では、1試合で20回もタックルを決めました。そのドバリシビリが、2戦目のヤンには29回仕掛けて2回しか決められませんでした。ヤンは1戦目について「本当に片手しか使えなかった」と話し、3戦目も2戦目のようになると言っています。ドバリシビリは「前の試合は気がゆるんでいた」と認めつつ、ヤンを「いまこの階級でいちばん危ない選手」と呼んでいます(Arab News、2026年9月の記者会見)。

セミの予想

本線はヤンの判定勝ちです。2戦目は29回のタックルのうち27回を防ぎました。たまたまとは言いにくい差です。ただ、ドバリシビリは5ラウンドを通して止まらない体力の持ち主で、前回の反省を口にしています。タックルの成功が5回、6回と増えてくるようなら、流れはドバリシビリに傾きます。賭け率はヤン「-165」、ドバリシビリ「+135」で、ヤンが有利と見られています(10月7日時点)。

8. そのほかのメインカード

メインカードは全部で5試合です。タイトルマッチの2試合のほかに、次の3試合が組まれています。

  • フライ級 ロニー・カヴァナ(イングランド)vs ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)
  • ヘビー級 アレクサンドル・ヴォルコフ(ロシア)vs リズヴァン・クニエフ(ロシア)
  • フェザー級 アーロン・ピコ(アメリカ)vs ルシーニ・ケイタ(ベルギー)

※10月7日時点のUFC日本語公式の大会ページより。対戦カードは変わることがあります。

プレリムでは、元ライトヘビー級の王座挑戦者ドミニク・レイエスが、アザマト・ムルザカノフと戦います。全14試合の順番と、日本時間で何時から始まるかはUFC 333の全対戦カード・試合順にまとめました。今後のUFCの大会は試合予定で確かめられます。

よくある質問

この大会について、気になりそうなことをまとめました。

UFC 333はいつ、何時からですか

日本時間2026年10月25日(日)です。メインカードは午前3時から、プレリムは午前1時から、アーリープレリムは前日24日(土)の夜11時からです(UFC日本語公式)。

どこで見られますか

日本ではU-NEXTがUFCの全大会をライブ配信すると発表しています。UFCの公式配信サービス「UFC FIGHT PASS」でも見られます。10月7日の時点では、U-NEXTにUFC 333の配信の枠はまだ出ていません。

エヴロエフはどんな選手ですか

ロシア・イングーシ共和国出身の32歳。グレコローマン・レスリングの実績があり、総合格闘技は20戦20勝の無敗です。UFCでは10戦10勝で、10試合すべてが判定勝ち。いとこには、レスリングのオリンピック金メダリスト、ムサ・エヴロエフがいます(英語版Wikipedia)。

ヴォルカノフスキーは何歳ですか

1988年9月29日生まれで、試合の日は38歳です。エヴロエフより6つ上です。

ヴォルカノフスキーは日本人と戦ったことがありますか

あります。UFCに来てすぐのころ、2016年11月に粕谷優介に2回TKO勝ち、2017年6月に廣田瑞人に判定勝ちしています(UFCStats)。

ヤンとドバリシビリの対戦成績は

1勝1敗です。2023年3月はドバリシビリ、2025年12月はヤンが、どちらも5ラウンドの判定で勝っています。

まとめ

  • UFC 333は日本時間10月25日(日)。メインカードは午前3時から、アブダビで開催
  • メインはヴォルカノフスキーと20戦無敗のエヴロエフのフェザー級タイトルマッチ
  • エヴロエフはUFCの10勝がすべて判定。後半にタックルを重ねてラウンドを取るのが勝ち筋
  • 当サイトの本線は、手数で上回るヴォルカノフスキーの判定勝ち。自信は低め
  • セミはヤンとドバリシビリの3戦目。本線はヤンの判定勝ち

試合を見るなら、3回以降にエヴロエフのタックルが増えるかどうか(マーフィー戦は1・2回が0回、5回目だけで5回)と、4・5回に38歳の王者の手数が落ちていないかに注目すると、試合の流れがよく分かります。計量や試合順が発表されたら、この記事に書き足します。

▶ 王者の全戦績とプロフィールは アレクサンダー・ヴォルカノフスキーの選手ページ
▶ セミの王者は ピョートル・ヤンの選手ページ
▶ 9月のUFCの王座の動きは UFCの王座の動きまとめ/いまの王者は MMA世界王者一覧
▶ ほかの試合の予定は 試合予定/配信先は どこで見られる?/選手の一覧は 選手名鑑

この記事で使った出どころ

  • 対戦カード・時刻・順位・賭け率:UFC日本語公式「UFC 333」大会ページ(2026年10月7日に確認)
  • 試合ごとの打撃・タックルの数と採点:UFCStats(UFCの公式記録サイト)
  • エヴロエフの全戦績:英語版Wikipedia「Movsar Evloev」
  • ロペスのUFCデビューの事情:英語版Wikipedia「Diego Lopes (fighter)」
  • マーフィー戦の反則とヴォルカノフスキーの発言:AAP(2026年3月22日)
  • 記者会見での4選手の発言:Arab News(2026年9月25日)/2人の経歴:Arab News(2026年10月2日)
  • 試合決定時の賭け率:Heavy.com
  • U-NEXTの配信:U-NEXTの発表(2025年11月10日)

情報は2026年10月7日時点のものです。予想は当サイトの見方で、結果を約束するものではありません。誤りを見つけられた場合は、ご指摘いただけると助かります。