【11月20日】フューリー vs ジョシュアのセミに、井上尚弥の「次の相手候補」が出る|交渉期限は9月4日
2026年11月20日(日本時間21日)、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでタイソン・フューリー vs アンソニー・ジョシュア——イギリスの元ヘビー級王者どうしの一戦が組まれようとしています。10年以上「実現しない」と言われ続けてきたカードです。
ただ、当サイトがこの興行を取り上げるのは、メインイベントのためではありません。
この日のセミファイナルに出るのが、井上尚弥が「次の相手候補」として名前を挙げている選手だからです。
そしてもう一つ。そのセミの対戦相手は、去年の9月に名古屋で武居由樹を倒した男です。
日本から見ると、この1試合は9月27日の坪井智也とも、2027年2月の井上尚弥ともつながっています。順番に整理します。
いま決まっていること・決まっていないこと
| 日時 | 2026年11月20日(日本時間21日)※まだ正式決定ではありません |
|---|---|
| 会場 | ニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデン(開催地でもめています。後述) |
| メイン | タイソン・フューリー(38歳・英)vs アンソニー・ジョシュア(36歳・英) |
| セミファイナル | ジェシー・“バム”・ロドリゲス(26歳・米)vs クリスチャン・メディナ(26歳・メキシコ) WBA・WBO世界バンタム級王座統一戦 |
| いまの状況 | フューリーが「交渉期限は9月4日(日本時間5日)まで」と明言。まとまらなければ別の相手と戦うとしています |
まずメイン。共通の相手が3人います
フューリーとジョシュアは、まだ一度も戦っていません。ですが同じ相手と戦った記録が3つあります。ここを並べると、2人の性格がよく見えます。
| 共通の相手 | タイソン・フューリー | アンソニー・ジョシュア |
|---|---|---|
| オレクサンドル・ウシク | 2024年5月 12回SD負け 2024年12月 12回判定負け |
2021年9月 12回判定負け 2022年8月 12回SD負け |
| フランシス・ガヌー | 2023年10月 10回スプリット判定勝ち(ダウンを奪われた) | 2024年3月 2回KO勝ち |
| オットー・ウォリン | 2019年9月 12回判定勝ち | 2023年12月 5回終了時 棄権(RTD)勝ち |
読み取れることは3つです。
①ウシクには2人とも勝てていません。合わせて4試合、4敗。しかも4試合とも12ラウンドまで行っています。
②残る2人の共通の相手には、ジョシュアのほうが「速く、はっきり」勝っています。元UFC王者のガヌーを、フューリーはダウンを喫したうえでスプリット判定でしのぎ、ジョシュアは2回でKOしました。ウォリンも、フューリーは12回、ジョシュアは5回で終わらせています。
③ただし、決定的な数字がひとつあります。
| タイソン・フューリー | アンソニー・ジョシュア | |
|---|---|---|
| 年齢 | 38歳(1988年8月12日生) | 36歳(1989年10月15日生) |
| 体格 | 206cm/リーチ216cm | 198cm/リーチ208cm |
| 戦績 | 39戦36勝(25KO)2敗1分 | 34戦30勝(27KO)4敗 |
| KO・TKO負け | 0 | 2(アンディ・ルイスJr/ダニエル・デュボア) |
フューリーは39戦して一度も倒されていません。ジョシュアは倒されたことが2回あります。
「倒す力はジョシュアが上、倒れない力はフューリーが上」。共通の相手3人と負け方を並べると、この試合はそういう構図に見えてきます。
ちなみにこの2人、直近の試合は1日違いでした。フューリーは2026年7月24日にタイ・パタヤでマリウシュ・バフに7回終了時棄権勝ち。ジョシュアは翌7月25日にサウジアラビア・ジェッダでクリスティアン・プレンガに2回KO勝ち。同じ週末に、地球の反対側で、それぞれ勝っています。
なぜ「9月4日が期限」なのか
試合そのものはほぼ合意しているのに、開催地で止まっています。
- ジョシュア側のプロモーター、エディ・ハーン(マッチルーム)は、契約に含まれているイギリス開催を希望
- 資金を出すサウジアラビアのトゥルキ・アラルシク大臣側はニューヨーク開催を主張
- ハーン側は、ジョシュアの前の試合の未払い報酬と、これまでの興行でマッチルームに支払われるべき金銭の支払いも求めていて、1週間たっても回答がない
この状況にしびれを切らしたフューリーが、「交渉期限は9月4日(日本時間5日)までだ」と期限を切りました。それまでにまとまらなければ別の相手と戦うとしていて、その相手はすでに用意してあるとも示唆しています。フューリー自身は、アメリカ・フロリダ州マイアミですでにキャンプを始めています。
つまり、来週末に結論が出ます。
なお、候補地のマディソン・スクエア・ガーデンには、ジョシュアにとって特別な意味があります。
2019年6月1日、ジョシュアがアンディ・ルイスJrに7回TKOで敗れ、4本のベルトをすべて失ったのがこの会場です。ボクシング史でも屈指の番狂わせと言われた試合で、ジョシュアにとってはアメリカでの初戦でもありました。もしニューヨーク開催に決まれば、ジョシュアは7年半ぶりに、その場所に戻ることになります。
ここからが本題。セミに出る2人が、日本と直接つながっています
ジェシー・“バム”・ロドリゲス=井上尚弥の「次の相手候補」
ジェシー・“バム”・ロドリゲス(26歳・米テキサス州サンアントニオ)は24戦24勝(17KO)無敗の世界3階級制覇王者で、現在のWBA世界バンタム級スーパー王者です。
井上尚弥は2026年7月27日、年内は試合をしないと明言したうえで、次の相手候補としてこのロドリゲスの名前を挙げました。
ただし——ここが今回いちばん重要なところです——井上は同時に「期限」も切っています。
「2月あたりで、できるならやる」
「それより長くなるようなら、バムにそこまでこだわらなくてもいい。自分の道を行く」(報道による)
井上はロドリゲス戦が遅れる場合、フェザー級転向に進む考えを示しています。
一方、ロドリゲスのマネジャー兼トレーナーであるロバート・ガルシアは、井上戦の前にもう1試合やりたいと公言しています。
「あと1試合、それが必要なんだ。そうすれば準備が整う。スピードだけじゃなく、しっかりしたパンチで“バム”を試してくれる相手が要る」(ガルシア)
その「あと1試合」が、11月20日の統一戦です。
11月20日にやると、井上が言う「2月」まで3か月弱。ギリギリ間に合うか、間に合わないか。来週末の交渉結果が、井上尚弥の2027年の予定にそのまま跳ね返る——そういう構図になっています。
クリスチャン・メディナ=武居由樹からベルトを奪った男
もう一方のクリスチャン・メディナ(26歳・メキシコ/31戦27勝19KO4敗)は、日本のファンにとっては説明が一行で済みます。
2025年9月、名古屋のIGアリーナで武居由樹を4回TKOで倒し、WBO世界バンタム級王座を奪った選手です。
その後2026年に入って、元IBF世界ライトフライ級王者のエイドリアン・クリエルを12回判定3-0で下し、初防衛にも成功しています。
つまり11月20日のセミは、「井上尚弥の次の相手候補」と「武居由樹を倒した男」の一騎打ちです。メインがイギリス人どうしのヘビー級である一方で、セミのほうが日本のボクシングに直結しています。
もう1本、日本につながる線があります
ロドリゲスをめぐる話は、これだけではありません。
ロドリゲスはバンタム級に階級を上げるとき、WBC世界スーパーフライ級の王座を返上しました。そこが空位になったので、1位と2位で決めることになった——それが9月27日の坪井智也 vs リカルド・マラジカです。
さらに細かいところを見ると、こんな重なり方もしています。
| カルロス・クアドラス(元WBC世界スーパーフライ級王者)と戦った2人 | |
|---|---|
| ジェシー・ロドリゲス | 2022年2月5日 判定勝ち(WBC世界スーパーフライ級王座決定戦/22歳で戴冠) |
| 坪井 智也 | 2025年11月24日 8回2分59秒 TKO勝ち(プロ3戦目) |
同じ相手を、ロドリゲスは判定で、坪井はTKOで下しています。もちろん3年9か月の開きがあるので単純な比較はできませんが、坪井が9月27日に獲りに行くベルトの「前の持ち主」がロドリゲスで、その「前の前」がクアドラス——という線はつながっています。
整理すると、11月20日の1試合はこうなります。
- 9月27日 坪井智也が、ロドリゲスが置いていったベルトを獲りに行く(記事はこちら)
- 11月20日 そのロドリゲスが、武居由樹を倒したメディナとバンタム級を統一しにいく
- 2027年2月ごろ 勝てば井上尚弥戦。遅れれば井上はフェザー級へ
まとめ
- フューリー vs ジョシュアは11月20日(日本時間21日)ニューヨーク・MSGで調整中。ただし開催地でもめていて、フューリーが「9月4日まで」と期限を切った
- 共通の相手3人で比べると、ウシクには2人とも4戦4敗。ガヌーとウォリンにはジョシュアのほうが速く勝っている
- ただしフューリーは39戦してKO負けゼロ、ジョシュアは2回倒されている
- MSGは2019年にジョシュアがルイスJrに敗れて全ベルトを失った場所
- セミはジェシー・“バム”・ロドリゲス vs クリスチャン・メディナのバンタム級王座統一戦
- ロドリゲスは井上尚弥の次戦候補。井上は「2月あたりまで」と期限を切り、遅れればフェザー級へ進むとしている
- メディナは2025年9月に名古屋で武居由樹を4回TKOで倒した選手
- ロドリゲスが返上したベルトを、9月27日に坪井智也が獲りに行く
今後の日程は試合予定、現在の世界王者はボクシング世界王者一覧にまとめています。
選手のプロフィール
この記事に出てくる選手の戦績・経歴は、選手名鑑にまとめています。
この記事の出典
- 交渉の状況・セミファイナルの内容:BOXING MASTER 2026年8月27日
- 井上尚弥の発言:Boxing News(英)2026年7月27日
- ロバート・ガルシアの発言:The Ring(米)
- フューリー・ジョシュアの戦績:英語版Wikipedia「Tyson Fury」「Anthony Joshua」
- クリスチャン・メディナの戦績・武居由樹戦:中日スポーツ/WOWOW/ボクシングモバイル
- ジェシー・ロドリゲス・坪井智也の戦績:当サイト選手名鑑(出典は各ページに記載)
戦績・日程は2026年8月28日時点の公開情報にもとづきます。この試合はまだ正式発表されていません。誤りを見つけられた場合はご指摘ください。